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倒れ・ねじれ・芯ずれは「建て込んだ瞬間」には生まれていない
柱主筋がずれる原因の大半は、主筋を建てる前の段階で仕込まれています。工程をさかのぼって押さえておくと、どこで直せば効率がいいかが見えてきます。
| 発生工程 | 典型的な原因 | 現れ方 |
|---|---|---|
| 下階の打設 | 出し筋(残し筋)が打設中に押される、バイブレーターが当たる | 建込み前から出し筋が倒れている |
| 墨出し | 柱型の墨のみで逃げ墨がない、スラブの不陸で墨が読みにくい | 基準が確認できず、感覚で建ててしまう |
| 継手 | 圧接のあおり・偏心、機械式継手の締め不足、重ね継手の重なり不良 | 継手位置から上で折れたように倒れる |
| 帯筋取付 | フックの向きが片側に偏る、片面だけ先に結束する | 平面で見て柱が回る(ねじれ) |
| 控え取り | 一方向しか押さえていない、足場から控えを取る | 日が変わると建ちが変わっている |
| 型枠建込み | セパ・フォームタイの締め付けで主筋が押される | かぶりが片寄る |
| 打設 | 筒先・ホースが主筋に当たる、過度なバイブレーター掛け | 次階の出し筋がまた倒れる |
つまり、自分の階で直しきるだけでなく、次の階の建込みを楽にするところまでが柱筋の仕事になります。
建込み前の段取り
墨を信用できる状態にする
柱型の墨だけでは、鉄筋が立った後に墨が隠れて確認できません。柱面から逃げた位置に逃げ墨(返り墨)を出しておき、建込み後も定規や差し金で当たれるようにします。逃げ寸法は現場で統一し、鉄筋・型枠・躯体の各職で同じ数字を使うこと。職種ごとに違う逃げを使うと、検測のたびに食い違います。
通り芯からの柱芯、柱の向き(主筋の本数配置が四面で違う柱は特に)を、建込み前に図面と現場で突き合わせておきます。
出し筋の建ち直しを先にやる
下階から出ている主筋が倒れたままでは、その上に何を建てても通りません。建込みに入る前に、出し筋を墨に対して2方向で確認し、必要な曲げ戻しの範囲・方法について監理者の指示を受けます。鉄筋の曲げ戻しは材質や曲げ半径に関わる話なので、現場の判断だけで強引に起こさないこと。
建込みと仮固定の手順

- 出し筋の建ち直し・清掃(継手部の油、泥、コンクリートのノロを落とす)
- 主筋を建てて継手を処理(圧接・機械式・重ね継手のいずれかは設計図書による)
- 帯筋を規定の位置に落とし込み、まずは仮締め
- 上下2点以上で控えを取る
- 倒れとねじれを測って修正
- 本結束、かぶり用のスペーサー取付
- 型枠建込み前に再度検測
ポイントは3と6を分けることです。最初から帯筋を本締めすると、ねじれが固まって直せなくなります。仮締めの段階で建ちとねじれを確定させてから締め上げる順序を崩さないでください。
控えの取り方
- 2方向(直交する2面)から押さえる。1方向だけでは逃げます
- 足場、仮設材、移動する物からは控えを取らない
- スラブのインサートや打設済みの梁など、動かないものを支点にする
- ターンバックル付きの控えにしておくと、検測しながら微調整できる
- 高さのある柱は上下2段以上。上端だけ押さえると途中で孕みます
倒れの直し方
倒れは必ず直交する2方向で測ります。片面だけ見て合わせると、もう一方が開いたまま型枠が入ります。
- 下げ振り:風の影響を受けるので、外部や吹き抜け部では読み値が安定しない
- レーザー墨出し器:逃げ墨に合わせて確認できる。朝と昼で機器のレベルを再確認する
- トランシット:柱が高い場合や、まとめて複数柱を見る場合に有効
測るのは柱の上端(次階の床付近)だけでなく、中間でも当たります。上下が合っていても中間で孕んでいれば、かぶりが足りなくなります。
ねじれの直し方

ねじれは、平面で見たときに主筋が作る矩形が通り芯に対して回転している状態です。倒れより見落とされやすく、型枠を建てたときに一方の隅だけかぶりが薄いという形で表面化します。
確認は、隅の主筋4本それぞれから逃げ墨までの距離を当たること。4点の数字が揃わなければねじれています。
ねじれを呼び込む要因:
- 帯筋のフックの向きが全段で同じ方向に揃っている
- 片面から順に結束していき、反対面を最後にまとめて締めた
- 控えを対角の1方向だけで取った
- 先組ユニットを吊り込んだときの吊り点が偏っていた
帯筋のフックは、段ごとに位置を振り分けるのが基本です。フックの角度・余長・位置の扱いは設計図書と特記仕様書で確認してください。
芯ずれ
継手位置で主筋の芯が食い違うと、上階の建ちは直せても応力の通りが悪くなります。圧接であれば、軸心のずれ・曲がり・ふくらみの扱いは設計図書および監理者の指示に従い、不合格となった箇所の処置方法も事前に決めておきます。機械式継手は、メーカーの施工要領書どおりの挿入量・締付けができているかを、目視できるうちに確認します。
型枠建込み前の最終確認と配筋検査で見られる点
- 柱芯の位置(逃げ墨から2方向、隅主筋4点)
- 倒れ(2方向、上端と中間)
- ねじれ(4隅の実測値の揃い)
- 主筋の本数・径・配置、継手位置のずらし方
- 帯筋の間隔、柱頭・柱脚の範囲、フックの向きと位置
- かぶりを確保するスペーサーの種類・配置・数
- 継手部の処理状態(圧接部の外観、機械式継手の締付け確認)
- 梁主筋の定着が取り合う部位での納まり
間隔・本数・かぶり厚さ・定着長さといった数値は、設計図書と特記仕様書で確認してください。判断に迷う納まりは、型枠が入る前に監理者の指示を受けるのが結局いちばん早く済みます。
先組ユニットで建て込む場合
地組・場外先組のユニットを吊り込む場合は、運搬・吊り込み中の変形が追加の論点になります。吊り点の位置、吊り治具、仮の筋かい(振れ止め)を組み込んでおかないと、精度よく組んだものが現場に着いた時点でねじれています。どこまでを先組にするか、検査を場外と現場のどちらで行うかは、設計図書・特記仕様書と監理者の指示で決めてください。
海外では、狭小市街地の事情から場外の先組ヤードの運用を発注者側が文書で枠組み化する動き(香港)や、鉄筋の加工から組立までをロボットセルで完結させる取り組み(スイス)が出ています。ただし継手の工法選定や検査の要求は国ごとの規準に紐づくため、日本の現場では設計図書と日本の規準に従ってください。
※本記事は一般的な解説です。実際の施工にあたっては、設計図書および工事監理者の指示を必ず優先してください。
