RC階段の配筋 段板と踊り場の納まりの勘所

図面が簡略になりやすい部位だからこそ、先に決めておく

RC階段は、平面図では段割と幅、断面図では踏面・蹴上の寸法と斜めスラブの厚さが示される程度で、配筋図は「スラブ配筋に準ずる」で済まされていることが少なくありません。ところが実際に組もうとすると、折れ点の処理、踊り場との重ね、段鼻側の押さえ、型枠との順序がすべて絡み合い、現場判断を求められます。

まず押さえるべきは、その階段がどう支えられているかです。ここが決まらないと主筋の方向が決まりません。

支持形式 主筋の流れ 特に注意する筋
上下端の梁・スラブで支持(一般的な折り返し階段) 上り勾配方向 斜面下端筋、折れ点まわり
両側の壁・側桁で支持 段方向(階段幅方向) 幅方向の下端筋、側壁への定着
片持ち(キャンチ段板・壁からの持ち出し) 持ち出し方向 上端筋(引張側が上になる)

片持ち形式で上端筋を下げてしまう、両側支持なのに勾配方向を主筋として組む——といった取り違えは、見た目には整った配筋でも成立しません。配筋図が簡略なときは、支持形式と主筋方向を最初に監理者へ確認しておきます。

斜めスラブとしての段板配筋

下の床から斜めの段板を経て上の踊り場へ至る階段断面の模式図。上側の折れ点では上面が凸側になり上端筋を折り曲げず相手側の面へ延ばして定着、下側の折れ点では下面が凸側になり下端筋を同様に延ばして定着させる。凹側の鉄筋は折れ点を回して連続させる。
階段断面の模式図。上下2か所の折れ点での鉄筋の納まりを示す

一般的な上下端支持の階段は、勾配のついたスラブとして扱います。斜面の下面に沿って主筋(流れ方向)を並べ、それに直交して配力筋を段方向に配します。上端側にも同様に主筋・配力筋を配し、段の形状部はその上に乗る、という積み方が基本形です。径・本数・間隔・定着長さは設計図書と特記仕様書で確認します。

折れ点(踊り場・上下端との取り合い)の処理

階段配筋で最も間違いが起きるのが、斜面と水平面が交わる折れ点です。

判断の軸は「入隅か出隅か」を面で覚えることではなく、その鉄筋が折れ点の外側(凸側)に来るのか、内側(凹側)に来るのかです。階段では上下2か所の折れ点で凹凸が逆になるため、面で覚えると取り違えます。

  • 上側の折れ点(斜面から上の踊り場・床へ移るところ):躯体は山型に折れ、上面が凸側になります。ここで折れ点の外側に来るのは上端筋です。
  • 下側の折れ点(下の踊り場・床から斜面へ移るところ):躯体は谷型に折れ、下面が凸側になります。ここで折れ点の外側に来るのは下端筋です。

そのうえで、納まりの原則は次の二つです。

  • 凸側(折れ点の外側)に来る引張鉄筋は、折れ点で単純に折り曲げて連続させない。 折り曲げた鉄筋に引張力が働くと直線に戻ろうとする力が生じ、かぶり側のコンクリートを押し出す方向に作用して、かぶりの浮き・剥落につながります。この位置では、それぞれの面の鉄筋を相手側の面へ延ばして定着させ、交差・重ねる納まりとします。
  • 凹側(折れ点の内側)に来る鉄筋は、折れ点を回して連続させる形になります。引張力は躯体の内側へ向かうため押し出しは生じませんが、曲げ加工の内法半径と、折れ点でかぶりが抜けやすいことに注意します。

実際にどちらの面が引張になるかは支持条件と連続性によって変わるため、凸側に来る鉄筋については、折り曲げて回すのではなく延長・定着で処理する側に寄せて考えます。この「凸側では折り曲げず、延長して定着」という考え方は、階段に限らず折れ梁・折れスラブの屈折部に共通する話です。延長する長さと重ねの取り方は設計図書で確認し、図面に明示が無ければ監理者に指示を求めます。曲げ加工が絡むため、加工帳を出す前に確認しておくことが重要です。

踊り場・スラブ・梁との取り合い

  • 踊り場スラブは、階段の折れ点で応力の向きが変わるため、段板側から延びてくる鉄筋と踊り場自身の配筋が重なり、鉄筋が密になりがちです。かぶりとあき(鉄筋間隔)が確保できるか、上下の重なり順を先に決めておきます。
  • 上下端で梁に定着する場合、梁の主筋・あばら筋との干渉が起きます。梁配筋を先に組む段取りなら、階段主筋を差し込む位置を確保しておく必要があります。
  • 既存スラブや壁へのあと施工アンカー(差し筋)で受ける場合は、位置出しの精度がそのまま段板の勾配とレベルに出ます。

段鼻側と段形状部の押さえ

段の形状部(踏面と蹴込みでできる三角部分)は、斜めスラブの躯体からの出っ張りであり、放っておくと無筋に近い状態になります。

  • 段方向の補強筋(段鼻に沿う筋)と、段の形に沿わせる筋を入れる指示があるかを確認します。仕上げが石・タイル・現し(打放し)で、要求される精度も変わります。
  • 段鼻は欠けやすく、かぶりも薄くなりやすい箇所です。補強筋を入れる場合、かぶりが確保できる位置に納まっているかを型枠取付前に確認します。
  • 手すり・ノンスリップ・段鼻金物のためのインサートやアンカーが鉄筋と干渉しないか、位置を先に拾っておきます。

支保工・型枠との干渉と組み立て順序

階段の組み立て順序を示すフロー図。斜め型枠と墨・段割の確認、下端筋と配力筋およびスペーサー、折れ点の延長と踊り場との取り合い、上端筋と段部の補強筋、インサートや配管の取り合い、配筋検査のうえ段の堰板取付、の六段階。
階段の組み立て順序。段の堰板を付ける前が最後の手直し機会

階段は「斜めの底型枠 → 配筋 → 段の堰板(蹴込み板)」という順序になるため、堰板が付いてしまうと手直しがほぼできません

  1. 斜め型枠と踊り場・上下端の型枠を組み、墨と段割を確認する
  2. 下端筋・配力筋を配し、スペーサーでかぶりを確保する
  3. 折れ点の延長・重ね、踊り場側との取り合いを納める
  4. 上端筋・配力筋、段部の補強筋を配する
  5. インサート・手すりアンカー・電気配管などの取り合いを確認する
  6. 配筋検査を受けたうえで段の堰板を取り付ける

斜面上では鉄筋もスペーサーも滑ります。下端筋のスペーサーは種類・数量とも余裕を見て、結束を確実にしておきます。段の堰板を押さえる桟木や締付け金物が鉄筋を押す位置に来ていないか、堰板を仮当てして確認すると手戻りが減ります。打設時はコンクリートが下へ流れ、バイブレータで上端筋が沈みやすいため、上端筋の受け(スペーサー・馬)も忘れず入れておきます。

配筋検査で見られる点

見られる点 現場での備え
主筋の方向が支持形式と合っているか 施工前に支持形式を確認し、記録に残す
折れ点の外側(凸側)に来る引張鉄筋を折り曲げていないか 上下の折れ点で凹凸が逆になることを踏まえ、加工帳の段階で納まりを決めておく
踊り場・梁・壁への定着と重ねの取り方 設計図書の値を拾い、不明なら指示を仰ぐ
かぶり(斜面下面・段鼻・側面) スペーサーの種類・数量・固定状態
継手位置とずらし方 位置は設計図書・監理者の指示による
段部の補強筋の有無と位置 堰板取付前に写真で記録する
あき(鉄筋間隔)と密集部の処理 踊り場取り合いは重なり順を事前決定

段の堰板を取り付けると内部が見えなくなるため、検査は堰板前に受けるか、少なくとも堰板前の状態を写真で残す段取りにしておきます。撮影は段割が分かるアングルと、折れ点・定着部の寄りの2種類を押さえると後の説明が楽になります。

※本記事は一般的な解説です。実際の施工にあたっては、設計図書および工事監理者の指示を必ず優先してください。

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