横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
2000年に発生した石油卸会社「石橋産業」から、179億円の約束手形を騙し取る大事件となった「石橋産業事件」。
巨額の資金が動く経済事件の一つで、3,000億円の金銭が動いた戦後最大の経済事件と呼ばれる「イトマン事件」と密接に関係する事件の一つです。
そんな「石橋産業事件」で気になるのが、事件の概要や事件の主体となる「約束手形」の詳細。
加えて事件に関与していた人物が関わっていた戦後最大の経済事件「イトマン事件」の詳細ではないでしょうか。
そこで当記事では「石橋産業事件」の概要や、「約束手形」の詳細について解説していきます。
5分程度で読める内容になっていますので、それぞれの概要を深く知らない方は是非参考にしてみてください。
目次
石橋産業事件とは?
石橋産業事件とは、当時の石橋産業の代表取締役から流出した自社株を回収することを約束し179億円の約束手形を騙し取った事件。
事件の首謀者であった不動産管理会社代表の許永中氏は当時「新井組」の株を担保に融資を受けていた京都ノンバンクの仕払いに、だまし取った約束手形を利用した概要が主な内容となっています。
また許永中氏は戦後最大の経済事件となった、3,000億円もの資金が闇へ消えた「イトマン事件」の首謀者です。
石橋産業事件と聞くと度々登場する「約束手形」や「イトマン事件」の詳細をご存知でない方も多いのではないでしょうか。
そんな事件の鍵となった「約束手形」と「イトマン事件」について解説していきましょう。
そもそも「約束手形」とは
約束手形とは支払い人が受取人に対して、 あらかじめ設定しておいた日に支払いを約束する証明書です。
わかりやすく証明書と説明しましたが小切手や国債証券、商品券と同じように財産として扱われる「有償証券」の1つ。
「小切手」との主な違いは口座残高に現金がなくても発行することが可能で、支払期限が長いのが特徴です。
通常に支払いを行うよりも、現金での支払いが延長できることができるため企業などが支払いの調整等を行うのに用いられます。
原則として「約束手形」の期日内に支払人が、約束した金額の支払いを行わなければなりません。
支払いを行わなかった場合には、「約束手形」に記載されている支払い期限の原則3日前までにに金融機関で現金と交換することが可能。
これを「手形割引」 と呼び、 期限より前に現金化するため割引料として手数料が発生します。
そして6ヶ月に2回「不渡り」を起こすと、ペナルティとして支払い人はすべての金融機関を利用することができなくなります。
「不渡り」とは 期限内に支払いを行わなかったことの総称で、 期限内に当座貯金が足りない場合に発生します。
「石橋産業事件」では、179億円の約束手形を当時の石橋産業代表取締役から騙し取った詐欺罪が問題として挙げられています。
日本最大の経済事件「イトマン事件」とは?
「イトマン事件」とは3,000億円の金銭が動いた戦後最大の経済事件で、事件発生から20年以上経過する現在でも謎の多い事件です。
当時繊維商社として「天下のイトマン」と呼ばれていた、大阪の大手繊維製品会社「伊藤萬株式会社」から巨額の資産が流出した問題。
当時の「伊藤萬株式会社」の代表取締役に、ゴルフ場や美術品といった投資を積極的に勧め住友銀行から膨大な資金を調達しました。
結果として「伊藤萬株式会社」を間にはさみ、住友銀行から3,000億円の資金が流れ出ることになり事件の背景には暴力団が絡んでいたとの噂も相まって世間に大きな反響を及ぼした事件。
そして「伊藤萬株式会社」の代表取締役に、投資を積極的に勧めたのが暴力団との繋がりを持つと噂され、後に「石橋産業事件」の容疑者となる許永中氏でした。
3,000億円の資金が流出する問題は戦後で最大の金額で、当時バブル末期の日本に衝撃をもたらせた事件の一つです。
石橋産業事件に関する詳細まとめ
最後に「石橋産業事件」に関する「約束手形」や「イトマン事件」などの詳細をまとめていきましょう。
- 「石橋産業事件」とは、当時の石橋産業の代表取締役から179億円相当の約束手形を騙し取った事件
- 約束手形とは表記された期日までに支払いを約束する証明書で、支払期限を調整することが出来るため企業の資金繰りなどに用いられる
- 約束手形の受取人は期日までに銀行で「手形割引」と呼ばれる制度で現金化することが可能
- 支払い人は約束手形に記載された期日までに当座貯金が足りない場合「不渡り」が発生し、6ヶ月以内に2回起こすと全ての金融期間が利用できなくなる
- イトマン事件とは、「伊藤萬株式会社」を挟んで住友銀行から3,000億円もの、戦後最大と呼ばれる資金が流出した事件
- イトマン事件に深く関わる人物は、「石橋産業事件」の容疑者だった
「石橋産業事件」の概要や、「約束手形」や「イトマン事件」を詳しく知らない方は参考としてお役立て頂けたでしょうか。
戦後最大とも言える巨額の資金が動いた「イトマン事件」と深く関わる人物が引き起こした、巨額の約束手形が絡む「石橋産業事件」。
そんな一大事件から、過去の巨大事件や約束手形などの詳細をまなび、今後の新時代の糧として活かせるようマネーリテラシーを高めていきましょう。