ゼネコンの汚職事件から波及?「茨城県汚職事件」とは?

我々の生活に欠かせない建設業ですが、汚職事件がつきない業界でもあり、クリーンなイメージがない方もいらっしゃるかもしれません。

建設業と政界は実質的に切っても切れない関係があり、今までもこの密接な関係性が起因したことでさまざまな事件が起きています。

今回紹介するのは「茨城県汚職事件(いばらきけんおしょくじけん)」という、ゼネコンと政界の結びつきで大きく問題視された事件です。

国・政界とゼネコンの結びつきについて

冒頭で書いたように、国とゼネコンの結びつきは太いものとなっています。

建設業は国が行う根本的な施策のほかにも、徐々に老朽化していく日本国都心部のインフラを改善するため、規模の大きな再開発プロジェクトなどで、政府の莫大な資金が動くんですね。

そうした環境の中でも、近年では、建設業の今後を担う若年層の就職率が著しく低く、2020年7月に帝国データバンクが企業向けに行った人手不足の調査結果では、各業界の過半数以上占める割合になっているほどなのです。

そのため、国土交通省は厚生労働省と積極的に連携し、外国人材の活用も含めて、様々な取り組みを進めていたりもします。

例えば技能労働者の労務単価の引き上げ、社会保険未加入者への対策を強化するなど、就労環境の改善を図っています。

また、教育訓練の強化や女性技能労働者の入職、生産システムや入札契約の制度の見直しから、今後を担う技能労働者の育成策のとりまとめまで、多額の予算を組んで向き合っているのです。

このように、建設業ひいては日本の発展のために使われている予算ですが、莫大なお金が動くため、汚職事件にも繋がりやすいのです。

本題である、茨城県汚職事件について紹介していきます。

一人の政治家の脱税から「茨城県汚職事件」へ

この事件は金丸信元自民党副総裁の脱税が発覚したことでから始まりました。

1986年第3次中曽根内閣時、副総理を務めていた金丸信氏は、任期を終えた1987年から1989年の2年間で、約18億円以上の所得に対して10億円近くを脱税していたのです。

この巨額の脱税事件で金丸氏が逮捕されたのは1993年3月6日。

一連の事件で押収された資料の一部により、当時のゼネコン各社から中央・地方政界への賄賂が判明したのでした。

東京地検特捜部の捜査で“計32人が起訴”された「ゼネコン汚職事件」

ゼネコン各社から送られた賄賂の宛先は東京地方検察庁特別捜査部の捜査によって、1993年から1994年の一年間で多数に行き渡っていることが分かりました。

主に宮城県・茨城県知事、仙台市長、建設相宛てに多額の資金が流れており、結果的に当時件に関わった計32人が収賄罪で起訴される事態になったのです。

事件は後に「ゼネコン汚職事件」としてまとめられており、その中で茨城県知事が関わったものが“茨城県汚職事件”なのです。

ゼネコンが各都道府県、当該地域で建設工事を行うために、県知事や市長に賄賂を流していたという事実。

ゼネコン汚職事件では、収賄罪の一審公判中に死亡した竹内藤男元茨城県知事を除いて、関わりを持った全員に有罪判決が下されています。

県庁舎移転から県立医療大学、県立植物園温室の工事まで…

茨城県汚職事件で茨城県が発注していた工事は、県庁舎の移転に関わる新築工事から、県立植物園温室(茨城県植物園)、茨城県立医療大学の新築工事です。

これらの工事で賄賂を受け取っていたのは当時茨城県知事を務めていた竹内藤男氏です。

竹内氏は第8~12代の茨城県知事を長期的に務め、『つくばエクスプレス』で知られる茨城県の学園都市『つくば市』の成立に尽力した上、“つくば市”という市名の名付け親でもある方でした。

竹内氏は東京帝国大学法学部卒業後に国家公務員として、建設省の官僚というキャリアを持っています。

ゼネコンとの関わりを持ち始めていたのは、建設省に在籍していた時期からなのかもしれません。

まとめ

今回紹介した茨城県汚職事件では、ゼネコン側から政界への賄賂という資金の流れが明らかになったため、芋づる式に起訴されたケースです。

しかし、過去に起きた事件を紐解いていくと、その逆として受け取れる事件もあります。

また、竹内氏に輝かしいキャリアがあっても一人の人間です。

賄賂はゼネコン側から流れていたのか、竹内氏が要求したのかその真相は闇の中。

しかし、起訴こそされた竹内氏ですが、茨城県に対する並々ならぬ想いがなければ、県知事の職務を長期的に全うすることはできなかったのではないでしょうか。

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