鉄筋の種類を現場で見分ける ロールマークと色別表示

ロールマークは「3つの情報」が並んでいる

異形棒鋼の表面を模式化した図。節とリブの間に、製造業者を示すマーク、呼び名の数字、種類を示す突起(コブ)の順で並び、同じ並びが一定間隔で繰り返すことを示す。突起や端部色と鋼種の対応は製造業者の規格票とミルシートで確認する旨の注記付き。
異形棒鋼のロールマークに並ぶ3つの情報と読み方の注意点

異形棒鋼の表面には、節と節の間に一定間隔でマークが圧延されている。読み取る情報は大きく3つ。

読む順 内容 現場での使い道
製造業者を示すマーク メーカー識別 ミルシート(鋼材検査証明書)との照合
呼び名を示す数字 D13、D16 など 径の確認。ただし全メーカーが付けているとは限らない
種類を示す突起(コブ)の数 鋼種の区別 鋼種取り違えの防止

種類の区別は、突起の数で表す方法と、材の端部を塗色する方法がある。一般に流通している異形棒鋼では、突起なし/1個/2個/3個が強度区分の順に対応し、端部の色も強度区分ごとに分けられている。ただし区別方法の詳細は規格の改正で見直されることがあり、製造業者によって採用する表示方法も異なる。「現場の記憶」で判断せず、搬入材のミルシートと製造業者の規格票で対応を確認してから使うこと。SD295とSD345のように外見の径が同じで鋼種だけ違う材が同じ現場に入るときは、ここを外すと致命的になる。

マークが読めないとき

  • 黒皮や浮き錆、泥で潰れている → ワイヤブラシで数十センチだけ磨いて、連続する数か所のマークを読む
  • 1本だけで判断しない → 同じ結束の中から3〜4本抜いて読み、同一であることを確かめる
  • 切断後の短尺材 → マークの間隔によっては1組も残らないことがある。切る前に識別するのが原則

色別表示は「端部だけ」であることを忘れない

端部塗色は、束のまま見分けられるのが利点だが、弱点が2つある。

  1. 切断すると消える。 定尺材を加工場や現場で切った瞬間、色の付いた端部は片側に偏り、もう一方の材には色が残らない。
  2. 塗り直されることがある。 仮置き中の雨・泥、運搬時の擦れで判別しにくくなる。

したがって色は「一次スクリーニング」、最終確認はロールマーク、という使い分けにする。加工後の材は、色ではなく加工帳の符号を書いた荷札(タグ)を結束ごとに付ける。タグには符号・鋼種・径・長さ・本数・使用部位を書き、建込みまで外さない。

搬入 → 仮置き → 加工 → 建込みの区分

搬入・仮置き・加工・建込みの4段階を左から並べた流れ図。搬入から加工前までは端部色と荷札で束ごとに見分けられるが、切断した時点で端部色が失われ、以降は加工帳の符号タグで識別する。全段階を通じた最終確認手段はロールマークであることを示す。
搬入から建込みまで、段階ごとに変わる識別手段の受け渡し

搬入時

  • 納品書・ミルシートと現物を照合する。ロット番号、鋼種、呼び名、数量
  • 荷下ろし前に、トラック上で束ごとの端部色と荷札を確認する。下ろしてから違いに気づくと積み替えになる
  • ミルシートは径・鋼種ごとに綴じ、現物の束との対応が後から追えるようにしておく

仮置き

  • 鋼種が違う材は、同じ径でも絶対に隣に置かない。通路を1本挟む、ヤードの列を分ける、といった物理的な分離が一番効く
  • 枕木を使って地面から離す。泥が付くとマークが読めなくなるうえ、付着にも影響する
  • 束の見える側に鋼種・径を書いた表示板を立てる。色テープだけだと夜間・雨天で判別できない

加工

  • 切断・曲げの前に、加工指示書の鋼種・径と、材のロールマークを突き合わせる
  • 加工後は符号ごとに結束し、タグを付ける。ここでタグが付かないと、その後は現物のマークを読む以外に識別手段が無くなる
  • 余材は径・鋼種別に戻す。混ざった余材の山が、後工程の取り違えの発生源になる

建込み

  • 荷揚げは部位・符号単位で。複数符号を1玉に混ぜない
  • 組み始めで「主筋の径が図面と合っているか」を1回止めて確認する。組み上がってからでは差し替えが大仕事になる
  • コンクリート打設前に、ロールマークが見える向きに何本か組んでおくと、検査・記録写真で手間が減る

配筋検査で見られること

検査では、配筋の寸法・本数・かぶり・継手位置に加え、使っている材が設計図書どおりの鋼種・径かが見られる。具体的には次のようなところ。

  • 代表箇所でロールマークを実見・撮影する(スケールと黒板を添えて鋼種記号が読めるように)
  • ミルシートと現場の使用部位の対応
  • 同一径で鋼種が複数ある場合、部位ごとの使い分けが正しいか
  • スペーサー・結束の状態、かぶりの確保(具体的な数値は設計図書・特記仕様書による)

記録写真は「後から撮り直せない」。配筋が込み入る前、支保工や型枠で隠れる前に、鋼種が判読できるカットを部位ごとに残しておく。

海外では識別そのものを機械が担い始めている

スイスの ETH チューリッヒ発スピンオフ MESH は、鉄筋かごの組立をロボット化した技術を実用化しており、ロボットアームは組立だけでなく鉄筋の識別・品質確認・物流管理にも使われているとしている。加工ヤードの仕分けという、日本でも人手に頼ってきた工程に機械を入れる方向性として参考になる。

ただし、こうした自動かご組立は溶接を伴う構成が多い。日本で鉄筋に溶接を用いる場合、継手としても組立用としても扱いは別で、適用の可否は設計図書・特記仕様書と監理者の指示による。海外事例をそのまま持ち込めるものではない。材料規格・区別表示の体系も国ごとに異なるため、日本の現場での識別は、日本の規格と設計図書に基づいて行う。

取り違えを起こさない最小限の習慣

  • 束を解く前に、ロールマークを読む
  • 切る前に、鋼種と径を確認する
  • 加工したら、タグを付ける
  • 鋼種違いは、物理的に離して置く
  • 迷ったら組まない。加工帳と設計図書に戻る

どれも時間のかかる作業ではない。取り違えたまま打設した場合のやり直しと比べれば、確認に使う数分は安い。

※本記事は一般的な解説です。実際の施工にあたっては、設計図書および工事監理者の指示を必ず優先してください。

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