横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
近年、ドローンの技術が発展し、カメラなどの趣味から荷物の輸送を担ったり産業用として用いられたりなど、社会的に注目を集めています。
建設業界においても活躍が期待されており、現場に導入することで様々な利益を生むと言われています。
本記事では建設業界でのドローンの活用範囲や導入にあたってのメリット・デメリットなどを考察していきましょう。
目次
ドローンについて
まずはドローンとはどのような物なのか確認しましょう。
自立して飛行することができる無人航空機
ドローン(無人航空機)とは、
『航空の用に供することが出来る飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることが出来ない物のうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させる事が出来る物』
引用:航空交第2条22項
のことを指します。
広義的にはラジコンもドローンの一部に含まれますが、近年注目を集めているドローンはGPSやセンサーが搭載されており、電子的な制御で自立して飛行することができる点が大きな強みです。
建設業界へのドローンの活用範囲
それでは、実際にドローンを建設現場に導入した際、どのような場面で役立つのでしょうか。
三次元測量
空撮測量ドローンを用いることで、簡単に三次元測量を行うことができるようになります。
従来は、上空から三次元測量を行うには人工衛星や航空機を使用する必要がありましたが、ドローンを用いることでそのような手間は一切かかりません。
さらに、航空機と比べて低空かつ細かく観察することができるため、より精度の高い三次元測量が可能です。
遠隔操作による定期点検
人が立ち入るのに時間的な制限がある鉄道施設や、物理的制限がある高所などの定期点検を遠隔操作によって簡単に行うことができるようになります。
鉄道施設は公共性が高いので、通常の運行時間中は点検することが難しく、人力の場合は点検場面が限られてしまうのが大きな問題です。
しかし、ドローンを用いることで限られた時間のなかで簡単に点検を実施することができ、問題解決の足掛かりとなります。
また、橋梁などは高所なので、点検に手間と時間を要することが問題です。
そんな場面でもドローンを採用することによって一挙に点検を実施することができるため、今後の建設業界ではドローンがなくてはならない存在になりつつあります。
カメラを搭載したドローンで点検箇所を撮影し、劣化状況をAIに判断させる取組も進んでいます。
機動性を生かした写真撮影
ドローンは点検をするだけでなく、その様子を鮮明な写真として収めることができます。
そのため、その機動性を生かして点検や施工の様子を写真として残すことができ、施工後の検査や点検結果の記録に大いに役立つでしょう。
ドローンを導入するメリット
それでは、実際に建設現場にドローンを導入する際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
安心・安全
ドローンを導入することで安全性が担保され、労災が起こりえる危険作業を回避することができるため安心して作業することができるようになります。
建設現場で点検を行う際、通常であれば足場を組み立てる必要があったり、高所作業を行ったりする必要がありますが、ドローンを用いることで、遠隔操作による安全な点検が可能です。
効率の上昇
ドローンを導入すると作業性が向上し、効率の上昇が見込まれます。
従来の方法で航空写真を撮影する場合、他業者に航空機を手配したり、綿密なスケジュール調整が必要だったりと、様々な手間があるため時間がかかりがちです。
しかし、ドローンを用いることで自社内だけで簡潔に作業することができるため、作業効率が格段に上昇します。
コスト削減
ドローンを導入することで、コストを大幅に削減することが可能です。
建設現場のみならずその他の仕事においても、人件費をいかに削減するかがコストの削減におけるキーポイントでしょう。
ドローンを用いることで手間や作業量を削減することができるため、コストダウンをすることが可能です。
その結果、会社の売り上げ上昇に大きく貢献します。
ドローンを導入するデメリット
それでは、実際に建設現場にドローンを導入する際にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
水に弱い
ドローンはモーターやバッテリーを搭載した精密機械なので、水に非常に弱く特に雨に左右されてしまいます。
そのため、いつでも気軽にドローンを運転できるわけではなく、長期間悪天候が続いた場合は工事をストップせざるを得ません。
風速に左右される
ドローン本体の重量や性能にもよりますが、風が強い場合ドローンを正常に運転できなくなる恐れがあります。
一見風が弱いように思える場合でも、ビル風や風向きの影響を大きく受け、作業が困難になる場合があるでしょう。
ドローンを運転するためのルール
ドローンを操縦する場合、運転のルールを守らなければいけません。
ここでは、ドローンを飛ばして良い空域・基本的なルールの2点について説明します。
空域の制限
ドローンを運転可能な範囲には上記のような制限があります。
A~Cのような空域で無人飛行機を飛行させる場合、あらかじめ国土交通大臣の許可を受ける必要があるので注意が必要です。
橋の点検ではA~Cにほとんど該当しませんが、ビルなどの高所を点検使用とするとCに該当するので許可が必要になります。
基本的なルール
無人飛行機を飛行させる際、場所に限らずに以下のようなルールを守らなければなりません。
[1] アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
[2] 飛行前確認を行うこと
[3] 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
[4] 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[10] 無人航空機から物を投下しないこと引用:国土交通省
このようなルールを必ず守って、正しい方法でドローンを運用する必要があります。
まとめ
本記事では、
- ドローンとは何か
- 建設業界へのドローンの活用範囲
- ドローンを導入するメリット・デメリット
- ドローンを運転するためのルール
についてご紹介いたしました。
ドローンは建設業界に大きなメリットを生みますが、その反面天候に左右されてしまうなどの欠点も抱えています。
しかし、作業範囲や内容を考慮してドローンを導入することで、大きな利益を生む可能性もあります。