群馬県桐生市入札妨害事件

私の地元である群馬県は、全国的に見ると意外に「政治家の色が強い県」です。

小渕恵三氏、福田赳夫氏、橋本龍太郎氏など、過去に総理大臣を務めた人物を何人も輩出しており、地方レベルでも桐生市の笹川家のように強い影響力を持つ一族が存在しています。

そのため、群馬県では昔から政治と地元社会との結びつきが非常に強いのです。

選挙前になると、地元の建設会社が開催する安全大会に、県議、市議、国会議員までもがそろって出席し、挨拶回りをするのが恒例行事となっています。

そんな中、群馬県桐生市役所の新庁舎建設工事をめぐって、公正な入札を妨害したとして、県議会議員を含む4人が逮捕されるという事件が発生しました。

この事件では、群馬県太田市の地元ゼネコン「関東建設工業株式会社」の営業部長と県議会議員が逮捕されています。

今回は、地元群馬の建設業界に詳しい立場から、この事件について感じたこと、そして地元でささやかれている噂などを交えてお話ししていきたいと思います。

関東建設工業と元太田市長の話

地方議員というと、市民の声を汲み取り、行政に反映させる立場だと思われがちですが、実際にはもっと別の役割を担っているケースが少なくありません。

特に群馬のような地方都市では、建設業者との結びつきが非常に強く、議員が地元企業からの依頼を受けて動くというのは“日常の風景”になっています。

今回の事件で逮捕された相沢崇文県議も、日頃から地元建設業者に対して顔を売っていたとされており、「業者に有利となるよう公告案を修正させた」という容疑の背景にも、こうした癒着構造があると見られています。

このような構図は、業者側にとっても利益があり、議員側も票や支援という見返りを得られるため、簡単には解消されない問題です。

元太田市長の就任の1995年以降、関東建設工業の業績が伸びたのは有名な話

関東建設工業株式会社は、群馬県太田市に本社を構える中堅ゼネコンです。

1995年に清水聖義氏が太田市長に初当選して以降、関東建設工業の業績が急激に伸びたというのは、地元ではよく知られた話です。

もちろん、それがすべて政治的な力によるものであるとは断定できません。

しかし、公共工事の受注実績が極端に偏っていたことや、他の業者に比べて不自然なほど多くの案件を受注していたことは、誰の目にも明らかでした。

清水氏は2023年の太田市長選挙で、無所属の新人である穂積昌信氏に敗れ、通算8期にわたって続いた市長の座を退くことになりました。

そして、そのわずか数ヶ月後に発覚した今回の事件

偶然とは思えないという声も、地元では多く聞かれます。

群馬県は一部の影響力を持つ政治家が支配する県

私は群馬県で生まれ育ちましたが、率直に申し上げて、群馬県の政治家の資質は、最底辺ではないかと考えています。

これは地方にありがちな構造とも言えるかもしれませんが、群馬県では仕事に対する向上心や責任感が皆無で、役職や肩書きだけが先行しているように感じられる場面が多々あります。

たとえば、組織や職場において、自分よりも能力のある人物がいると、その人に責任を押し付け、自らは責任から逃れようとする。

そうした姿勢が横行しており、それがあたかも当然のように受け入れられている空気しかありません。

そのような環境において、強い地盤を持つ政治家が登場すると、その影に隠れて私利私欲を優先する人々が集まり、あたかも公正を装いながら、不正や便宜を図る構造が生まれてしまうのも、ある意味では自然な成り行きなのかもしれません。

群馬県民の多くは、政治に対して強い関心を持っていませんが、その背景には、地元で圧倒的な影響力を持つ政治家一族の存在があると言われています。

こうした「地盤・看板・カバン」に支えられた旧来型の政治構造が残り続けている限り、有権者の選択肢は限られたものとなり、結果として群馬県の政治家の質の向上にもつながらないのです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です