尺貫法と和室 

日本でメートル法が正式に採用されたのは1966年です。

現場の大工さんでも稀にいまだにメートルではなく「尺」の方がわかりやすいという方がいらっしゃいます。

建築士の方だと尺貫法を熟知している方が非常に多いので「尺」を使って話をするとスムーズにいくこともあります。

「尺」の由来を理解し、日々の業務に役立てましょう。

尺貫法について

尺を使った長さの単位を使うことを尺貫法といいます。

「尺」という単位は日本特有の長さの単位です。

なぜこのような「わかりにくそうな・・・」長さの単位が使用されていたのでしょうか?

まずは尺貫法について理解していきましょう。

尺貫法は日本人の体に合わせた長さの定義

尺貫法は身体尺を基本にできています。

現代では物の大きさを測る場合にはコンベックスやメジャーのような便利な道具を使用できますが、1800年より昔にはそのような便利なものはありませんでした。

昔の大工さんたちは、自分たちの手の大きさを使って寸法を測り、手の大きさを1つの基準として正確な建物を建てていたのです。

1尺は、親指と中指の間の長さの2倍

「尺」という漢字をよく見てみましょう。

これは象形文字で、親指と中指を広げてテーブルに立て、手で長さを測る様子をあらわしたものです。

大工さんたちは手を開いた時の親指の長さと中指の長さを1つの基準として、その2倍の長さを「尺」としました。

メートル法では1尺=30.3cmになります。

尺とは?

1尺=30.3cm

1尺は親指と中指の間の長さの2倍

1間(けん)について

6尺の長さを1間といいます。この長さは、日本人の身長をカバーできる長さに定められています。

日本人の平均身長は当時でおよそ160cmなので、1818mmあれば大抵の日本人の身長をカバーすることができます。

尺貫法

3尺=0.5間= 910( 909)
6尺= 1間=1820(1818)
9尺=1.5間=2730(2727)
12尺= 2間=3640(3636)

(数字)は厳密な数字。1尺=303mm

和室の寸法も尺貫法で決まっている

日本独特の建物様式である和室は、尺貫法に基づいて寸法が決定しています。

畳の大きさは「日本人が座って半畳、寝て1畳」の大きさです。

床柱の芯-芯間の距離を6尺(1間)として畳を敷きこみます。

タテ6尺ヨコ3尺に決められています。畳を2枚並べたときの面積を「坪」といいます。「坪」は今でも土地の広さを表すときに使いますね。

ちなみに一戸建ての平均の坪面積は40坪です。住宅建物は約70tで、N値が5以下の場合は地盤改良工事が一般的に必要になります。

畳の大きさ

畳の大きさは「座って半畳寝て1畳」

タテ6尺
ヨコ3尺

神棚は1年365日を尺貫法で表している

和室に設置させる神棚の寸法も厳密には尺をつかっています。

棚板の奥行きは1尺2寸、幅は3尺6寸5分とし1年365日を表すものが厳密なものになります。

昔の大工さんたちは、このように縁起を担いでいたのですね。

まとめ

尺貫法は一見すると中途半端な数値のため分かりにくく感じますが、日本人の体に合わせた長さの定義に基づいています。

日本独特のどこか落ち着いた建物づくりは尺貫法によって生み出されているのです。

現在でも間取りや面積を表す単位として使用されているので、この機会にしっかり理解して日々の業務に役立てましょう。

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