横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
一級鉄筋技能士(施工図作成作業)の試験対策です。
試験内容は、柱、大梁、小梁の3つに分かれています。
この記事では大梁の書き方を説明します。
目次
はじめに
僕は鉄筋技能を学ぶために群馬県の職業訓練校に入学しました。
学校では先生方から製図方法を丁寧に教わりました。
先生方は本当に親切で、基本を理解するのに手厚くサポートしてくれましたが、残念ながら、私は職業訓練校を卒業することができませんでした。
その理由は、学習体系があまりにも時代遅れ且つ非効率的で、僕には受け入れがたかったからです。
テストに合格するための知識量としては2年間ではなく2時間分ぐらいで十分
現代は情報が民主化され、あらゆる情報がスマートフォン1台で手に入る超情報社会です。
その中で、遠方の学校に週2回、朝8時から夕方5時まで座りっぱなしで2年間学ぶことは苦痛でしかなく、僕には合いませんでした。
2年間ものすごい濃い内容の勉強ができるかといえば、全くそうではなく、授業の内容はただの教科書の読み合わせが大半でした。
(「じゃあ教科書のこの部分を読んでみて」みたいな…)
僕の体感ですが、1級の資格を取るための知識量としては、2年間というよりは2時間分くらいなのかと思っています。
とはいってもネット上には鉄筋技能についての情報が少なく、オンラインで学習できる場もない。
ならば、自分で作ってしまおうと作ったのがこのてつまぐというサイトです。
このサイトの趣旨は「建設業専門知識・AIによる業務革新方法のオープン化」、つまり専門的な知識を効率よく学び、技能ギャップをAIの力で解消しようというものです。
鉄筋工事業とは裏腹にAIの市場規模は急成長しており、僕はこのAI市場の数パーセントのシェアを取りたいと孤軍奮闘しているところです。
鉄筋業界で学ぼうとしているなら一緒に仕事をしましょう!
この記事を読んでいるあなたは、相当頭の良い方だと思います。
自分の状況を理解し、目標を明確にし、必要な情報や知識を取捨選択することは容易ではありませんが、それは現代においては超超超重要なスキルです。
鉄筋業界は人材不足や原材料高で不景気であり、あまり人気のない業界です。
しかし、その狭い範囲ゆえに、私はこの記事を読んで学びたいと思っている方と協力したり、サポートしたり、一緒に仕事をしたりしたいと考えています。
甘い考えかもしれませんが、何か悩んでいることがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。
お手伝いできることがあれば嬉しいです。
実際の作図のイメージはこちらの動画を参照してください
一級鉄筋技能士試験について
技能検定は、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」です。
鉄筋技能士試験は、「施工図作成作業」と「組立作業」の2種類です。
過去問題は、以下のリンクから参照できます。
合格率は約50%で、難しくない
一級鉄筋技能士試験(施工図作成作業)の令和2年度の合格率は約50%です。
過去問を研究し、ポイントをしっかり押さえれば難しい試験ではありません。
一級鉄筋技能士試験の時期は毎年2月頃
試験は毎年2月頃に実施されます。試験の申し込みは10月初旬に開始されます。
一級鉄筋技能士試験(施工図作成作業)大梁の作図ポイント
一級施工図の試験において、一番時間がかかるのは大梁の部分です。
大梁の鉄筋は追い出し筋、中間材(あんこ)、追い終い筋、3つの部材が連続しています。そのため、1つの部材で計算ミスが他のすべての材料の計算ミスにつながってしまいます。
一級鉄筋技能士試験(施工図作成作業)の大梁図の書き方を見ていきましょう。
大梁作図のポイント3つ
・目標時間は60分
・寸法は暗記
・寸法線の書き忘れに注意しよう
目標時間は60分
試験時間は3時間なので、遅くても2.5時間で仕上げる練習をする必要があります。
大梁の部分は一番時間がかかるので、練習の段階で60分で仕上げる練習をしていきます。
寸法は暗記してしまおう
作図例にあるように、答案用紙は上の図と全く同じように記載します。
試験ごとに変化するのは寸法ですが、試験パターンも多くはありません。
過去4年間の大梁の試験箇所をみてみます。
実際の過去問題を見ると、X通りもY通りも通り芯間距離に変更はないので、記述パターンは3種類程度に絞られます。
図の赤色の部分は寸法に変更がほとんどない箇所です。変更があったとしてもパターンが少ないので、過去問で練習しながら寸法は暗記します。
図の青色の部分は、問題文を確認してから記入する必要があります。
上図の問題文では、上端筋の圧接位置の箇所に、「追い出し筋の長いほうの鉄筋に定尺材8000mmを使用する。」と記載がありますので、「2-D22-7500」ではなく「2-D22-8000」となります。
定尺材8000mmを使用する場合、追い出し筋のはたらき長さは7630mmとなります。
追い終い筋も同様に計算していくと、「2-D22-3450」となり、追い終い筋のはたらきは「3080」となります。
寸法線の書き忘れに注意しよう
通り芯間距離などに変更はないので、寸法線は図と同じものを書くことになります。
時間が無くなると焦って寸法線の記載忘れが出てきてしまいます。
例えば、追い出し筋の定着長さの記載は非常に忘れやすい箇所になります。
作図具体例
全体図は以下のようになります。
通り芯を3本描く
まず、通り芯を作画していきます。
Y0通り
柱図の面から【1500】の位置にY0通りの通り芯を1点鎖線で記入していきます。
長さの目安は、ケント紙またはトレーシングペーパーの上端から【1000】の位置から【6000】です。
Y1通り、Y2通り
図面の寸法通り記載すればOKです。
長さの目安は同様に【6000】とします。
寸法線を4本描く
寸法線は全部で4本記載します。
1本目:ケント紙またはトレーシングペーパーの上端から【1000】ここには、【7230】【2800】の全体寸法を記載します。
2本目:1本目から【250】ここには、柱の寸法【500】と柱間の寸法【7080】【2300】を記載します。
3本目:2本目から【250】ここには、通り芯と柱の割り振り寸法【425】【75】を記載します。また、カットオフや圧接位置に係るL/4の寸法【1770】【3540】も記載します。
4本目:3本目から【250】ここには、柱と梁主筋のにげ寸法【100】【400】を記載します。また、カットオフの余長寸法【440(20d)】【330(15d)】も記載します。
梁の鉄筋は全部で6段に分けて描く
梁の鉄筋は全部で6段に分けて記載していきます。
1段目:4番目の寸法線から【500】梁上端筋です。
問題文には、大抵長い方で【7500】の鉄筋を使用するように指示があります。【3950】の計算式は、770+7080+500+2300+770+30-7500=3950です。
2段目:1本目から【500】梁上筋です。
圧接の位置を【500】ずらして記載します。
3段目:2本目から【500】上トップ筋です。
使用する鉄筋の寸法を計算すると柱への定着長さ35d=770mm+柱面からL/4までの長さ1770mm+余長330mm=2870mmとなります。
4段目:3本目から【500】腹筋です。
腹筋の定着長さは30mmと記載がありますので、7080mm+30mm+30mm=7140mmとなります。
5段目:4本目から【500】下トップ筋です。
上トップ筋と同様にL/4の位置を基準として余長を確保していきます。下トップ筋の余長は上トップ筋の余長とは異なりますので注意して下さい。この場合は、3540mm+440mm+440mm=4420mmとなります。
6段目:5本目から【500】梁下端筋です。
計算方法は、7080mmに柱への定着長さを加えて、7080mm+770mm+770mm=8620mmです。
端部の断面は各真ん中に収める
端部の断面は、【1770(L/4)】間の真ん中に書くようにします。
中央部も同様にできるだけ中央に、バランス良く記載しましょう。
Y0-Y1間のST(スターラップ)の本数は、7080/@150+1=49本です。Y1-Y2間の本数計算も同様に行います。2300/@150=7本です。
幅止めも記載して完成です。
目標時間は60分としていますが、計算時間だったり、見直しの時間も確保したいので、柱の作図でできるだけ時短して大梁の作図時間を確保しましょう。
まとめ
一級鉄筋技能士(施工図)の試験はしっかり対策すれば難しい試験ではありません。過去問を解きながら、試験のポイントを集中的に対策しましょう。