横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
鉄筋は地震が多発する日本にとっては大変重要な建設構造部材の1つです。
建設業界従事者にとって鉄筋は当たり前の存在かもしれませんが、それ以外の一般の方にとってはあまりなじみのないものです。
この記事では、鉄筋の基礎知識から、建設業界の詳細な知識までご紹介します。
目次
鉄筋について
まず、鉄筋についての基礎知識をご紹介します。
鉄筋とは異形棒鋼をさす
鉄筋には異形棒鋼と丸鋼の2種類があります。
異形棒鋼は鉄鋼メーカーが鉄スクラップ等を主な原材料として加工生成した商品です。
日本では主に異形棒鋼が建設構造部材として使用されています。
以下鉄筋とは異形棒鋼のこととしてご紹介していきます。
鉄筋はJISで規定されている
鉄筋の規格は、JIS(日本工業規格)に規定されています。
具体的には、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)として図のように規格化されています。
鉄筋を購入すると、鋼材メーカーの試験成績書(ミルシート)が付いてきます。
それを見て規格を満足するかどうかを確認します。
鉄筋の機械的性質(参照 JISG3112)
鋼材メーカーの試験成績書「ミルシート」
上記の画像でいうと、D19(SD345)の鉄筋の降伏点は345~440(N/mm2)、引張強さは490(N/mm2)以上とJIS規格で決まっています。
検査では規格に合格しているので、検査証明書(ミルシート)が発行されています。
D10、D13とは呼び径
D10やD13は異形鉄筋の太さやサイズです。
Dの後ろの数字の部分が太さを表しており、呼び径とも呼ばれています。
1 2 |
D=deformed(異形) 数字=太さ(mm)、呼び径 |
鉄筋の単位重量表
異形棒鋼の寸法や単位質量については、図のように規定されています。
D10~の単位質量に関しては、覚えておくのが良いでしょう。
D10が約0.5kg/m、D13が約1kg/m、D16が約1.5kg/m、D19が約2kg/mと多少雑な覚え方でOKです。
異形棒鋼の寸法、質量および節の許容限度(参照 JIS G3112)
D10=約0.5kg/、D13=約1kg/m、D16=約1.5kg/m、D19=約2kg/m
D13定尺材5000m=1*5=5kgと暗算できると便利
SDは異形、SRは丸鋼を示す
SD295AのSDとは、Steel Deformed rebarの頭文字をとってSDとしています。
意味は、異形鉄筋という意味です。
丸鋼はSR(Steel round rebar)となります。
丸鋼には異形棒鋼のように凹凸(リブとふし)は存在していません。
異形棒鋼のリブとふし
コンクリートやモルタルの付着性を高め、引き抜き力に抵抗する力を増すためには付着する表面積を増やす必要があります。
そのために鉄筋の表面には凹凸状の「リブ」や「ふし」が設けられています。
鉄筋の「ふし」についてはその高さも規定されており、「ふし」の形状は、製造会社ごとに異なっています。
圧延マーク(ロールマーク)で性質を見極める
SD345なのかSD295なのかSD390なのか鉄筋の外見上は判断ができません。
そのため同じ鉄筋径であっても性質を見極められるようにロールマークが設定されています。
鉄筋の呼び名・製造業者・種類の記号
上記の画像で例をご紹介します。
25はD25の鉄筋の呼び名、SCは製造業者、「・」は圧延マーク(ロールマーク)を示しています。
ロールマーク及び形状
ロールマーク
「・」が1つであればSD345、「・・」と2つであればSD390を示しています。
鉄筋工事について
日本は地震国です。
複雑な地震動に耐えうる構造設計にはRC造(鉄筋コンクリート造)が適しており、建物の基礎部分は鉄筋を用いたRC造の基礎となることがほとんどです。
鉄筋工事とは、建築物や構造物を支えるために必要な鉄筋を配置する工事を指します。
鉄筋工事は主に2種類に職種分けされています。
鉄筋工事の基本は一体式構造
鉄筋工事の検査項目はたくさんありますが、特に重要な検査項目の中に「重ね継手長さ」や「定着長さ」があります。
RC造には柱や梁、床、壁などの複数の構造部材が存在しており、それらが一体化して1つの構造体となるには「重ね継手長さ」や「定着長さ」を適切に確保する必要があります。
鉄筋工事ではこの「一体式構造」をまず理解することが基本であり、とても重要な概念なのでぜひ理解しましょう。
施工図作成作業
建築物に設置される鉄筋は設計図面に基づいて鉄筋の種類や量、配置方法が決定されます。
施工図作成職は現場の生産性を最大限にするミッションを担っています。
現場で必要な部材は規格を満たしていればどのような長さの部材を使っても基本的にはOKです。
現場の状況や予算人工を考慮して最適な部材設計を行う作業が施工図作成職になります。
国家資格には鉄筋技能士(施工図作成作業)があります。
組立作業
現場で職長(リーダー)として実際に工事プロジェクトのマネジメントを行うのが組立作業職のミッションです。
大勢のメンバーを率いてリーダーシップを発揮するのはとても難しいことですが、やりがいのある仕事です。
人材不足が深刻な建設業界においては言葉が通じない外国籍の実習生に対してもリーダーシップを発揮する必要もあります。
国家資格には鉄筋技能士(組立作業)があります。
https://www.tetsumag.com/2020/02/07/24/
鉄筋の価格
2021年9月現在の鉄筋価格は2021年始と比較してほぼ倍の価格になっています。
価格高騰要因:中国鉄鋼産業における電炉製鋼へ政策誘導
中国の習国家主席は2020年9月22日の国連総会一般討論演説でCO2の排出量を2030年にピークに達成させ、2060年までにカーボンニュートラルを実現すると提起しました。
カーボンニュートラル達成に向けて、2021年の粗鋼減産を表明
「鉄スクラップの使用比率を高め、鉄鉱石の代わりに鉄スクラップを使用することが、最も有効なCO2削減対策である。
鉄スクラップは唯一鉄鉱石を差し替えられる鉄素材であり、グリーン資源であり、鉄スクラップを使用して1トンの鋼材を作るごとに、CO2を1.6トンの排出削減できる。2025年までに、国内製鋼用鉄スクラップ資源量は約3億トン、単純計算でCO2を4.8億トン排出削減できる。」
上記の通り、中国は鉄鋼産業で主流な高炉ではなく電炉を使用することでCO2を削減させる国策を進めています。
これにより鉄スクラップの需要が高まり、もともと中国産の鉄スクラップを安く輸入して鉄工商品を製造していた国産メーカーは中国産の鉄スクラップを安く輸入できなくなりました。
鉄筋の価格は中国の影響を受けて高止まりが続きそうです。
現在の価格は東京製鉄のHPを参考に
鉄筋の現在価格は以下のリンクが参考になります。2021/9/14 現在の価格はD10 ¥87,000/tとなっています。
東京製鉄株式会社 販売情報
参考:東京製鉄株式会社 建材価格表より
まとめ
この記事では鉄筋の基本知識から鉄筋工事の仕事内容の概要、鉄筋の価格変動要因や現在価格の調べ方までご紹介しました。
鉄筋価格を含め、鋼材価格は中国の影響を受けて上昇傾向にあります。