【若手技能士が理解する鉄筋施工】建設業のセンスとその鍛え方

建設業では「あいつはセンスが無い」と理不尽に評価されることが非常に多いです。

この記事では、建設業における「センス」とその鍛え方について解説します。

日本の建設業特有の組織文化・慣習

日本の建設業には職人文化が深く根付いています。

職人文化とは、伝統的な職人による高度な技術と専門知識を重視し、職人の技術や職業を尊重する文化を指します。

日本の歴史や文化には、建築や工芸など様々な分野において職人が重要な役割を果たしてきました。

職人文化について詳しく見ていきましょう。

職人の特徴は精密さと高い美意識

「職人」と呼ばれる熟練者たちは長い修行と経験を積み重ね、特定の技術や職業を身に着けてきました。

熟練者たちは、細部にまでこだわる精密さと高い美意識を持っており、自らの技術に誇りを持ち、職業としての使命感を持って作業に取り組みます。

自らの手で創り出した製品や建築物に対する責任感も強いです。

若手技能士は「センス」を持ち合わせていないと理不尽に怒られる

建設業は深刻な人材不足に陥っているので、外国人実習生に頼らざるを得ない状況です。

「センス」を持ち合わせている熟練者は、一切経験を持たない外国人実習生に対して容赦なく指導し、「センス」を持ち合わせていない若手は理不尽に怒られることになります。

この原因は以下の通りです。

「センス」はとても重要なものですが、人材不足が深刻な状況下では人材確保を難しくしてしまう大きな要因にもなっています。

建設業におけるセンスについて


熟練者が言う「センス」とはいったい何なのでしょうか?

建設業における「センス」は、技術や知識だけでなく、経験や感覚に基づく洞察力や判断力を指します。

建設業は、建物やインフラの設計、施工、改修など、複雑で多岐にわたる作業が必要な分野であり、単なる技術的な能力だけではうまくいかない事が多々あります。

センスとは「モノや人に対する几帳面さ」を指す

「センス」は以下の6つの要素に分けることができます。

小難しく書いてありますが、要は「モノや人に対する几帳面さ」と言い換えることができるでしょう。

例えば、外国人実習生に「帰宅する前に休憩所を掃除してから帰宅するように」とざっくりとお願いしたとします。

「机の上の缶ジュースの空き缶、机の上のホコリ、フロアの土汚れ、タバコの吸い殻を綺麗にしてから帰宅するように」と指示すれば分かりやすいですが、このように思わずざっくりとした指示になってしまうのはアルアルの現象ではないでしょうか。

豊富な勤務経験を持った30代前後の技能実習生の方であれば、机の上の缶ジュースの空き缶、机の上のホコリ、フロアの土汚れ、タバコの吸い殻を、客観的にも主観的にも納得のいくレベルで片づけることができます。

一方、20前後の勤務経験が無い技能実習生は、机の上の缶ジュースの空き缶を片づけて終わりにしてしまうでしょう。

時間に対しての考え方についても、普段からmm単位で管理している熟練者にとって1分単位で時間を管理するのは当たり前の行動です。

5分単位、10分単位で今まで行動していた若手にとって、1分単位で行動を管理できるようにするのはとても労力が要ることでなかなか身に着けることはできません。

「センス」を磨くには1年以上の訓練、経験の蓄積が必要

休憩所の掃除ならできなくても簡単にフォローできますが、それが取引先に納品する商品の場合は話は別です。

鉄筋工事業であれば、納品する商品をmm単位で管理する必要があります。

納品検査前には、型枠内に落ちている番線クズや使用した絵符、自動結束機の使用後の玉、不要な鉄筋等を回収しなければなりません。

真夏の酷暑の中、熟練者からのざっくりとした指示に対して熟練者が納得できるレベルの仕事をするのはとても大変なことです。

「センス」を磨くには個人の能力や経験、学習スタイルなどによって異なりますが、一般的には以下の点を考慮する必要があります。

建設業では、「4.自己改善と反省」「2.学習と専門知識の習得」が特に重要になります。

熟練者は若手技能士に対して優しくサポートすることはほとんどありません。

重要なのは、焦らずコツコツと学び、経験を積んでいくことであり、現場以外の場所で気づきや経験の回数を増やすことだと考えます。

時間と努力をかけることで確実にセンスを磨くことができるようになりますが、一人前と評価されるには1年以上の時間が必要になるでしょう。

ポイント

メンターを頼るのではなく、自己改善と反省が重要

まとめ

この記事では建設業における抽象的な概念「センス」について解説しました。

「センスが無い」と言われたとき、自分に何が足りなかったのか自己改善と反省を繰り返して少しずつセンスを磨いていきましょう。