横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
鉄筋工事において、かぶりが確保できているかどうかは配筋検査の際の重要なポイントの1つです。
かぶりを確保する際にはスペーサーを使用しますが、スペーサーにはたくさんの種類があり、適切なスペーサーを使用しなければ適切なかぶりを確保することはできません。
この記事では、鉄筋工事で使用するスペーサーと使い分け方について説明していきます。
目次
基礎に使用するスペーサー
基礎とはベース筋や柱筋、地中梁を指します。
これらの箇所で使用されるスペーサーを見ていきましょう。
567コンクリートブロック
基礎のベース筋のかぶり厚さは70mmが一般的です。
これらの箇所には567コンクリートブロックを使用します。
プラスチックドーナツ
柱筋や地中梁のかぶり厚さを確保するにはプラスチックドーナツを使用します。
プラスチックドーナツにもたくさんの種類があり、それぞれ色で大きさを区別できるようになっています。
スラブに使用するスペーサー
続いてスラブで使用するスペーサーを見ていきましょう。
スラブには多くの種類があり、それぞれ使用するスペーサーも異なります。
上下らくらくスペーサー
スラブで使用されるスペーサーはパテントスペーサーとも呼ばれています。
パテントスペーサーは、適切なかぶりを確保することの他に、配筋の位置がずれることを防ぐ役割を持っています。
下地が捨てコンなどで沈み込みが発生しない場合はプレート無のスペーサーを使用します。
下地が断熱材、木毛板、土間、防水層等の場合、沈み込み防止及びスペーサーの安定のためにプレート付きのスペーサーを使用します。
パテントスペーサーの役割は、かぶりの確保と配筋の固定
下地が断熱材などもろい素材の場合はプレート付きのスペーサーを使用する
456コンクリートブロック
土間スラブには一般的に456コンクリートブロックを使用します。
適切なかぶり厚さを確認しておきましょう。
CSスペーサー
ワイヤーメッシュに使用するスペーサーにはCSスペーサーがあります。
このスペーサーは設置方法が特徴的で、CSスペーサーを取り付けた後にワイヤーメッシュを持ち上げてCSスペーサーを回転させて設置します。
ワイヤーメッシュは山上40mmのスペーサーが一般的
ワイヤーメッシュの重ね継手を考慮すると、その分かぶりが小さくなります。
50mmのスペーサーを使用してしまうとワイヤーメッシュの重ね部分のかぶりが小さくなってしまいます。
デッキスラブ上にワイヤーメッシュを敷きこむ際は、高さが40mmのスペーサーを使用することが一般的です。
デッキスラブ上のワイヤーメッシュの場合、山上40mmのスペーサーを使用する
フェローデッキの場合はスペーサーは必要ない
フェローデッキスラブの場合はスペーサーと鉄筋がすでに一体化しているため上記のスペーサーを追加する必要はありません。
スペーサーの数量・配置基準
スペーサーの数量と配置基準を確認していきましょう。
ベース筋の場合
コンクリートブロックは1個/㎡程度に配置します。
柱筋の場合
図のように上段と中段に約1.5mピッチで配置します。
梁の場合
プラスチックドーナツを約1.5ピッチで配置します。
壁の場合
図のように約1.2mピッチで配置します。
見積りに含まれているスペーサーについて
鉄筋工事では加工取付の単価の中に結束線やスペーサーの材料費が含まれていることが一般的ですが、規格外のスペーサーは見積りの中には含まれない場合もあります。
詳しく見ていきます。
一般的なものは見積り時の契約に含まれるが規格外のものや鋼製スペーサーを使用するときは注意
上記で紹介した一般的なパテントスペーサーやドーナツ、コンクリートブロックは見積りの契約の中に含めることが一般的です。
しかし、高さが特殊なものやプラスチックではなく鋼製のスペーサーを使用するときは別途契約になることがあるので注意しましょう。
まとめ
この記事では、鉄筋工事で使用するスペーサーと使い分け方について解説しました。
施工箇所によって使用するスペーサーは大きさや形が異なります。
中には鋼製のものや規格外のものも存在するので鉄筋工事業者とよく打ち合わせをすることが必要です。