「リニア入札談合事件」で浮上した問題点と独占禁止法違反とは?事件の詳細を紹介

2027年の開業を目指して品川と名古屋を結ぶ次世代の新幹線「リニア中央新幹線」で浮上したのが、大手ゼネコンによる不正受注。

そんな「リニア入札談合事件」として取り上げられたのが、大手ゼネコンによる独占禁止法違反の疑いです。

そこで気になるのが「リニア入札談合事件」での問題点や独占禁止法違反といった犯罪の詳細ではないでしょうか。

当記事では「リニア入札談合事件」の詳細や、独占禁止法違反の概要について解説していきます。

建設業関係者で上層部での金銭の動きや、法律関係について知りたい方は是非参考にしてみてください。

リニア入札談合とは?

最高時速は500キロを誇り、2020年11月現在では東海道新幹線は1時間半ほど掛かる時間を40分に短縮可能なリニア新幹線。

従来の東海道新幹線とは異なり路線の殆どをトンネルを利用して山間部を突き抜けていくため、総工費は9兆300億円を誇る巨大プロジェクトです。

そんなリニア開発で問題視されているのが、大手ゼネコン4社により行われたと疑惑が持ち上げられている「リニア入札談合」。

「談合」とは工事の受注前に事前に請負業者などを決定して、入札価格を調整する行為の総称です。

今回のリニア入札談合で問題として取り上げられた大手ゼネコンは、日本を代表する建設業である以下の4社。

  • 大成建設
  • 清水建設
  • 鹿島建設
  • 大林組

それぞれ大手ゼネコン4社がJR東海から全体の7割以上に及ぶ発注を受注しており、別会社にも関わらず受注内容に統一性が見られる問題が発生。

その後4社で工事受注を調整していた疑惑が発生したことにより、大手ゼネコンの幹部に独占禁止法違反の疑いがかけられました。

リニア入札談合で取り上げられた問題点

「リニア入札談合」で問題となったのは、大手ゼネコン4社の談合により入札価格の調整と受注業者をあらかじめ決めた点。

あらかじめ入札価格の調整と受注業者を決めた上で受注したことにより、関係業者以外の企業が受注できないことから「独占禁止法違反」の疑いがかけられています。

そのため業者同士の競争が生まれないことから、工事料金を不正に釣り上げることも可能となっている点も問題視されている事件となりました。

今回の「リニア入札談合」で不当に受注工事が高く発注されていた場合、鉄道の利用料金として消費者から不当な値段として請求されることに繋がってしまいます。

そのため建設業界の人間だけではなく、新幹線や電車を利用する一般市民にも大きな影響を及ぼす問題として取り上げられました。

独占禁止法違反とは

そもそも「独占禁止法違反」の詳細については、ご存知でしょうか。

本来であれば事業者が提供する商品やサービスの品質と、消費者の安くて良いものを求める心理のバランスが取れている市場原理が働いています。

その市場原理を大手事業者同士が手を組み、意図的に競争相手を排除し事業者の判断で自由に価格を操作できる「独占状態」を防ぐ法律です。

独占禁止法がなければ消費者は低品質のサービスや商品を高額な値段で要求され続け、事業主に富が集中してしまう状態が発生します。

その自体から消費者を守るために監視を行う国の行政機関が「公正取引委員会」で、「リニア入札談合事件」でも調査に携わっています。

また「独占禁止法違反」では、平成18年に導入された「課徴金減免制度(別名:リーニエンシー制度)」と呼ばれる制度が導入されました。

「課徴金減免制度」とは、企業同士で「談合」を行った場合に自首することで罪を課せられた場合に発生する課徴金を減税することが出来る制度。

最初に自主した企業は全額免除、続いて2番目に自首した企業は40%の課徴金を減税することが可能です。

「リニア入札談合事件」では、大林組と清水建設の大手ゼネコン2社が談合を行ったことを認めています。

2020年度の裁判では大林組と清水建設への有罪判決が下され、残る大成建設と鹿島建設の2社への審判は2021年度の3月に下される予定です。

リニア入札談合の問題点まとめ

リニア入札談合の問題点や、独立禁止法違反の詳細について最後にまとめていきましょう。

  • 「リニア入札談合」では大手ゼネコン4社による「談合」により、独占禁止法違反の容疑が浮上した
  • 談合とは工事の受注前に、請負業者を事前に決定して入札価格を調整する行為
  • 事前に談合を行った事で競争相手となる企業を排除し、工事料金を不当に操作することができる点が問題となる事件
  • 「独占禁止法」とは、大手事業者同士が談合で手を組み市場原理を不当に操作する行為
  • 大手ゼネコン4社に対する裁判は2020年に行われ、残り2社は2021年3月に半月が下される予定

「リニア入札談合」の問題点について、詳細はご理解いただけたでしょうか。

次世代の新幹線として期待されているリニアモーターカーの建設に携わった大手ゼネコン4社が絡む問題へと発展した「リニア入札談合」。

東京と名古屋の間を50分短縮できることから、完成が期待される一方で巨額の資金が動く不正な談合問題が浮上する一大事件となりました。

一般人だけではなく建設業界の方々は上層部のお金の動きを知るためにも、是非認知しておきたい事件ではないでしょうか。