横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
時々街で見かけるガラス屋さんの看板。
お店の外から見るだけでは、どのような仕事をしているのかよくわかりませんよね。
最近では、「ガラスお助け本舗」や「ファインドロップ」など、全国展開している修繕専門の生活サービス関連紹介企業などを利用して修繕を頼む方も多いようです。
そのため、ガラス屋さんの実際の仕事を知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は街のガラス屋さんがどのような仕事をしているのか、その1日をご紹介します。
目次
良く知られているガラス屋の仕事は修繕のみ?
画像引用:https://pixabay.com/photos/glass-shattered-window-destruction-984457/
建設業に関係なく、一般家庭の方が知っているガラス屋の仕事と言えば、割れたガラスの修繕でしょう。
では、どのような時に修繕の仕事をしているのでしょうか?
個人から依頼される修繕
画像引用:https://pixabay.com/photos/japan-classroom-school-brown-school-960260/
一番多いのは個人からの修繕依頼です。
子供が遊んでいて割ってしまったとか、年末の大掃除中に割ってしまった、台風の時に割れてしまったなど、割れる理由は様々です。
この個人からの修繕依頼の中には、学校の教室のガラスも含まれます。
多くの公立学校の場合、地方自治体の予算の中で修繕をしてもらえることもありますが、部活などで生徒がガラスを割ってしまった場合には、個人負担での修繕となります。つまり、割った生徒の弁償ということです。
ただし、この様な場合のガラスの修繕依頼は割った本人からではなく、学校からです。
不動産管理会社から依頼される修繕
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アパートやマンションなど、賃貸物件に住んでいる方の場合は、不動産管理会社や大家さんを通じて依頼があります。
この場合は、割った本人ではなく不動産管理会社や大家さんに請求書を送付します。
不動産管理会社の場合は、前もって契約をしておきます。
ガラス屋として対応できる範囲をお互いに情報共有しておけば、いきなり何時間もかかる遠方での仕事を依頼されることもなく、また、繁忙期を避けて仕事をすることも出来るのです。
何より、不動産管理会社と契約する一番のメリットは、修繕費を貰い損ねることが無いという点でしょう。
警察から依頼される修繕
警察からの依頼というのは、意外に思われるかもしれません。
この依頼は窃盗被害にあった方のためのもので、めったにあることではありません。
窃盗被害にあった方の中には、どこのガラス屋に頼んだらいいのかわからないという方も少なくありませんし、損害保険などに対応してもらえるかどうかもわかりません。
そのため、おまわりさんから連絡が来ることもあるのです。
窃盗犯によって割られたガラスは、窃盗犯が捕まったからと言って必ずしも修繕費を補償してもらえるわけではありません。
そのため、損害保険などに入っている方の場合は、保険でその修繕費を賄うのです。
保険金を貰うためには、割れたガラスの写真と修繕後の写真が必要となりますし、ガラス屋の見積書と請求書、領収書も必要となります。
それらを問題なく準備してくれて、さらに直ぐに対応してくれるガラス屋を、個人で探すのは大変ですので、おまわりさんが気を利かせて紹介してくれるというわけなのです。
修繕以外にも仕事はある。新築の仕事と防音工事
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さて、ガラス屋さんの仕事は修繕だけなのでしょうか?
実は、地域やそのガラス屋さんの規模によっても違いはありますが、例えば新築工事中のガラス工事を請け負ったり、防衛省管轄の防音工事のガラス工事を請け負ったりと、修繕以外の仕事もしているのです。
新築工事の仕事
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先ず新築工事のお仕事ですが、お付き合いのある建設会社から見積依頼がきます。
建築物の規模、希望するサッシのグレード、そのサッシに入れるガラスの種類などの希望を聞いた上で、見積もりをし、指定された日時に納品をします。
納品方法は現場と商品によって違いがあり、現場監督が指定する場所に置いてくるだけのこともあれば、建付けまで行ってくることもあります。
防衛省管轄の防音工事の仕事
防音工事の多くはリフォーム工事です。
防衛省管轄というのは、航空自衛隊が近くにあることで騒音がひどい地域のために防衛省がお金を出して工事を実施しているからです。
既にある住宅を騒音問題から解放するために、毎年夏ごろに工事を行っています。
一般的な新築工事やリフォーム工事とは違い、一度に何十件もの住宅の工事を実施しますので、場合によっては夏だけアルバイトを雇うこともあります。
防音工事の場合、先ずは設計図面から必要なサッシやガラスのサイズを書き出し、施主ごとの一覧表を作成します。
ガラスサイズを書いた一覧表を基に必要なガラスの発注をします。
カットされたガラスをサッシにはめ、現場から指定された日時に納品します。
ちなみに、防音工事で使用されるサッシは一般の住宅に使用されているサッシとは違い、特別なサッシです。
防音サッシを作っている工場から一括で納品されますので、納品された日はそのサッシの仕分けに時間を取られてしまいます。
現場仕事がない時の仕事
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さて、現場での仕事がない時は何をしているのでしょうか?
実は、ここでご紹介した仕事以外にも、仕事はあるのです。
例えば、水槽を作って欲しいという依頼を受けたり、カッティンググラスを趣味にしている方から板硝子を分けて欲しいという依頼を受けて、希望のサイズにカットして販売したりといったこともあります。
木製建具を作っている会社から依頼を受けて、木製建具用のガラスをカットして納品することもしています。
そのほか、先ほども書いた通り、新築やリフォーム工事などのガラス工事の見積もり依頼があった場合に、見積書の作成をしたり、工事の打ち合わせに行ったりといった、現場仕事以外の仕事もしています。
まとめ
さて、今回はとあるガラス屋の仕事をご紹介しました。
建設業の方には当たり前の仕事内容だったでしょう。ですが、建設業とは関係のないお仕事をされている方には、知らない内容もあったのではないでしょうか?
ちなみに、街のガラス屋さんの多くは企業ではありません。個人事業主で、家族経営です。
そのため、ガラスだけでは生活が出来ず、お店にグラスや花瓶などのガラス商品を並べて販売していることもあれば、ガラスとは関係なく氷を販売していることもあります。
夏の時期は、かき氷機と氷、かき氷に必要な器とスプーンと氷蜜をセットでレンタルしていたりもします。