横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
近年は外国人実習生も増えている為、工事の基本的なことを丁寧に教える機会も増えてきました。
鉄筋工事業者ではなくても、例えば腰壁の差し筋の修正をお願いしたいときに「棒ハッカーを使って腰壁の台直し作業をやってほしい」と専門業者の言葉でコミュニケーションを取ればスムーズに打合せを済ませることができるはずです。
鉄筋工事業者が使う道具について解説していきます。
目次
建設現場で使用されるハッカーについて
鉄筋組立作業では鉄筋を組むために結束線と呼ばれる針金で鉄筋同士を固定します。
また駐車場や倉庫等の面積の広い床部分をコンクリートのひび割れ防止のために、ワイヤーメッシュを並べて結束線で互い同士を結合させます。
これらの作業で、結束線を締め付けるために使用する工具を一般的に「ハッカー」と呼びます。
鉄筋工事で使用されるハッカーは、この結束線を結束するハッカーとは別に棒ハッカーと呼ばれるものも存在しています。
ハッカーは2種類
ハッカー、棒ハッカー
手ハッカーの種類
手ハッカーとは最初で紹介した、結束線を結んで締め付けるための工具です。
通常「ハッカー」と言えば、たいていの場合この手ハッカーを指します。
では、どんな種類があるか大まかに見てみましょう。
・形状の種類 ロング/ミドル/ショート/スワン
・素材の種類 鉄/ステンレス/チタンコーティング
・グリップ部 ピアノ線/網目加工/ゴム
特にグリップ部は各メーカーでこだわりがあり、多彩なラインナップがあります。また用途によっても若干の種類があります。機能面でも、ベアリング内臓タイプや特殊熱処理を施して破損しにくいタイプもあります。メーカー別の主な特徴は、おすすめ項目で詳述します。
棒ハッカーの種類
棒ハッカーとは鉄筋を結束するものではなく、鉄筋を曲げるための工具です。
この「棒ハッカー」という名称は、メーカーや地域によって様々です。例えば、「ハンドル」「台直しハッカー」と呼ばれることもあります。
種類としては、パイプの両端に曲げ口を付けたタイプ、多方向から鉄筋に掛けられるタイプ、異なった鉄筋径を曲げられるタイプなど用途によって幾つかの種類があります。
ハッカーはどこで買うべき?購入方法を徹底比較!
ネット販売
ネット上でもこの2種類のハッカーを購入できます。下記のいずれの種類のサイトで購入するといいでしょう。
①工具系サイト モノタロウ ホームメイキング 道具道楽 etc.
様々なメーカーの同等品を比較できます。
商品説明も掲載されています。価格も総じて安いです。
②通常サイト アマゾン 楽天市場 ヤフーショッピング etc.
価格は工具系サイトと比べて遜色ないと思います。
多くのメーカーの同等品と比べる場合は不向きです。
ホームセンター
近年ホームセンターの工具エリアが非常に充実しています。
ホームセンターのメリットとしては種類と在庫が豊富なことです。
実際に見比べながら商品を選べます。
価格もネット販売ほどではないですが、安いです。
ただし一般向け商品が多いので、こだわり商品やプロ向けのものは在庫していない場合があります。
店員の商品知識は、高いとは言えない場合が多いです。
また、建設業者に特化したプロ指向のホームセンターが増えています。
こちらは、商品も建設業者向けのプロ用工具が豊富です。
店員の商品知識も相対的に高いようです。
金物屋・作業服屋
最近では地域の金物屋の衰退が顕著になっているようですが、こだわり工具の商品展開を充実させている金物屋もあります。
こういったお店のスタッフは、商品知識に秀でていますので、相談しながら購入することができます。
価格はホームセンターより高めです。
また地元金物屋の廃業という間隙を突いて、工具を充実させている作業服屋を見かけるようになりました。
手ハッカーなども、多くの種類を在庫しているお店があります。
価格もホームセンター並みのようです。
おすすめの手ハッカーメーカー
これから、「おすすめの手ハッカー」をメーカー別に紹介します。
①三貴(BXハッカー):プロ御用達
三貴というメーカーが、BXブランドで販売しているハッカーです。
最大の特徴はベアリング内蔵という点です。
結束する時のハッカーの回転が極めてなめらかなため、プロ鉄筋職人が愛してやまないハッカーに仕上がっています。
また手で握るグリップ部分のバリエーションが「これでもか」と思うくらい豊富なので、作業員にフィットしたタイプに出会えます。
他にも、ハッカーに名前を彫ってもらえることや、一年保証が付いていることも人気の秘密です。
デザインも洗練されていて、鉄筋職人のからの支持は非常に高いです。
価格的には、通常ホームセンターで売っているハッカーの数倍します。
豊富なラインナップの中から、人気商品をピックアップします。
・BX2:ミドルタイプ。グリップ部分はノーマル仕様です。
・BX2D:ミドルタイプ。グリップ部分はD型仕様です。
※BXシリーズは基本的に48タイプあります。
4種類(長さ・形状)x6種類(グリップ)x2種類(落下防止リング有無)=48種類
メーカーHP http://miki-bx.co.jp/product/
②濱田鉄筋工機(はまだ手ハッカー)
このメーカーは、初心者でも扱いやすいモデルからプロ職人に支持されるモデルまで扱っています。
派手さはありませんが、ハッカー本来の機能性と使いやすさにこだわっている感じです。
特に現場で使用する時の強靭さも特徴の一つです。
価格的にプロ対応モデルは、BXハッカーより若干安めです。
初心者におすすめのタイプと、プロ仕様を紹介します。
・ラセン(中):グリップ部はピアノ線をラセン状に加工し初心者でも手になじみます。
・八角ローレット:作業時に握り部分で叩いても特殊熱加工で多少の打撃にも耐えます。
メーカHP http://www.hamada-tekkinkouki.co.jp/pdf/priduct1.pdf
次に鉄筋工事専業向けではない、ホームセンターや地域の金物屋でよく見かける、一般的なタイプのハッカーを中心に扱うメーカーを2社紹介します。
③NICE(杉野工業):技能実習生など初心者にオススメ
建設工具の製造メーカーですが特に結束用のハッカーやシノーを主要商品としています。
一般向けのハッカーと共に、ラス作業や保温作業といった、特定の用途にしぼった商品もあります。
ホームセンターや作業服店において、このメーカーのハッカーをよく見かけます。
価格的には、購入しやすい安価な設定になっています。売れ筋商品を紹介します。
・本職型ハッカー#221:一般結束用。ステンレス製。
・ラス用ハッカー#228:ラス工事専用。回転カン付き。
メーカーHP https://www.nice-sugino.co.jp/product/
④一心産業
このメーカーは、鎌、刈り込み鋏、枝切り鋏、草削り等の園芸用刃物の製造と、建築現場で使用する作業工具、特にハッカー、シノーの製造がメインです。
ハッカーに関しては、一般向けと職人でも満足できる商品が揃っていて、バランスの良いラインナップです。
耐久性や仕上げの品質も考慮に入れています。主な商品を紹介します。
・ゴムグリップ付オールステンハッカー 241:ステンレス製。締付部は手作り仕上げ。
・スーパーDXハッカーSD-119:本体印により配筋間隔が一目でとれます。
メーカーHP http://issin.hyogo.jp/hackker.html
ここに挙げた製品は、代表的なタイプです。
各メーカーともに豊富なバリエーションがあります。ぜひ、カタログやメーカーHPを良くご覧になってください。
おすすめの棒ハッカー
ここからは、おすすめの棒ハッカーを商品別に紹介します。
①はまだや式両口ハッカー 2段式 D10・13兼用(濱田鉄筋工機)
ポピュラーな棒ハッカーで両端に曲げ口が付いています。
鉄筋を掛ける溝を、10㎜と13㎜の2つの鉄筋径に合わせてある兼用タイプです。
メーカーHP http://www.hamada-tekkinkouki.co.jp/pdf/priduct3.pdf
②クロスハッカー CR-13/CR16(三貴)
左右45度、2方向から鉄筋に掛けられます。
非常に使い勝手が良く人気があります。
鉄筋径に応じて2種類のサイズがあります。
メーカーHP http://miki-bx.co.jp/product/cr13/
③ダブルハッカー DWH-1316HP/DWH-1619HP(IKK)
ハンドル部分はプッシュボタンで伸縮自在です。
先端の曲げ口は180度動くので、現場の作状況に適応して作業できます。
DWH-1316は鉄筋径13㎜と16㎜兼用、DWH-1619は鉄筋径16㎜と19㎜兼用です。
メーカーHP http://www.diamond-ikk.com/products/dwh-1316hp-2/
まとめ
ここまで見たように、単に鉄筋の施工作業といっても様々な種類のハッカーがありますね。
作業の種類や作業量に合わせて適切なハッカーを選ぶと能率が上がり、時に単調な、時にはつらい作業の苦痛が軽減されるかもしれません。
カタログを良く調べたりネットの情報を参考にしたり販売店の熟練スタッフのアドバイスを聞いて、自分にとってのベストなハッカーに巡り合えるといいですね。