学習コラム記事一覧へ

【建設現場の労働災害事例】建設業の2つの懸念と災害防止策をご紹介

建設業は労働災害が多く、中でも死亡事故の割合が大多数を占めています。

厚生労働省もこの事態を重く見ており、定期的に労働災害防止対策を推進。

平成5年以降は労働災害防止協会が、関係業界団体や各行政と積極的な災害防止対策の通達を行ったこともあり、労働災害も年々減少傾向にあります。

しかし、製造業や運送業など他の業種と比較しても依然として労働災害の割合は高く、工事の進捗状況や計画に合わせて事業場が適切な措置や対策を講じる必要があると言われています。

今回紹介するのは建設業における労働災害の事故事例です。

経験・技能が豊富な作業員でもちょっとした気の緩みが、大きな事故に繋がり兼ねません。

今後事業場に入場する人たちの参考になれば幸いです。

労働災害の発生状況(平成27年~令和元年)

引用:労働災害の現状|一般社団法人 全国建設業労災互助会

全国建設業労災互助会が労働災害死傷病報告のデータを載せています。

ゼネコン側の方針や事業場ごとの細かなルール、工夫などを設けていても、平成27年~令和元年の4年間にあまり大きな変化は見られません。

平成 31 年/令和 元 年の建設業における死亡災害発生状況の事故の型別に見ると、 墜落 ・ 転落が 110 人 (40.9%)、 崩壊・倒壊が 34 人 (12.6%) を占め、 依然として高い割合を占めている。
また、 死傷災害発生状況の事故の型別に見ると、 墜落・転落が 5,171 人 (34.1%)、 はさまれ・巻き込まれが 1,693 人 (11.2%)、転倒が 1,589 人 (10.5%) を占め、 依然として高い割合を占めている。

引用:労働災害の現状|一般社団法人 全国建設業労災互助会

厚生労働省としても「開口部に手すりがない」「墜落制止用器具(安全帯)の正しく使用できていない」など、根本的な原因が起因していると見ています。

昨今では建設業界に就労している作業員の高齢化問題も顕著です。

また、人員不足の措置として、外国人労働者の雇用がさらに活発化すると考えられます。

ゼネコン側は協力会社に対して、適切な人員配置と施工計画書の提出を指示し、事業場全体でよりグローバルな労働災害防止策を講じる必要があるでしょう。

近年の建設業における厚生労働省の二つの懸念

厚生労働省は建設業における2つの懸念を危惧しています。

一つ目は近年、建設業全体に関わる問題として、公共工事の減少による厳しい経営環境であるという背景。

これはゼネコン同士でプロジェクトの入札競争がさらに激化している要因です。

結果的に低予算な工事計画の立案と、施工品質の低下を招くダンピング受注(※ 相場価格よりも著しい低価格による受注)が横行し、労働災害の防止対策にかける予算もカットされる負の連鎖を生んでいます。

二つ目は事業場で施工品質に対する責任と、事故防止のストッパーとしての役割を担う熟練労働者の高齢化です。

特定の時期から多くの熟練労働者が引退を迎え、安全管理に対するノウハウの消失が始まっており、安全衛生水準の低下を危険視しています。

厚生労働省は、「危険有害要因特定標準モデル」「建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」の活用および推進を図り続けているのです。

建設現場の労働災害事例

労働災害事例①:開口部からの転落事故

引用:職場のあんぜんサイト:労働災害事例

学生のアルバイトが死亡した災害事例になります。

6階建てビル屋上部分にて、解体ガラを投下するための開口部から地上まで転落した事例です。

災害の発生状況は、防音シートを張るための部材を鳶工に渡す際の移動中に転落しています。

《労働災害の防止策》

  • 開口部の立ち入り禁止養生
  • 開口部付近に墜落防止の措置行う
  • 安全に作業を行うためのスペースの確保
  • 不慣れな作業員への安全教育の徹底

労働災害事例②:高所作業車のバケットと橋桁下面の間に挟まれた事故

引用:職場のあんぜんサイト:労働災害事例

橋梁上部の型枠解体作業中に被災者が高所作業車の操作を誤り、バケットと橋桁底部に身体を挟まれた死亡事故です。

この事例では、無資格者が高所作業車の運転を行っていました。

被災した作業委は高所作業車運転技能講習修了証の写しを偽造して提出しており、会社としても確認不足だったようです。

また、KY活動も以前から使用している定型図表を用いていたため、施工計画書の見直しや打ち合わせも形骸化していたと考えられます。

《労働災害の防止策》

  • 資格は原本で確認する
  • 高所作業車の運転は有資格者に行わせる
  • 作業前の打ち合わせを入念に行う

労働災害事例③:玉掛け者が鉄骨の横転とともに転落した事故

引用:職場のあんぜんサイト:労働災害事例

工事で使用する鉄骨(H鋼)をクレーンで荷降ろす作業中に、玉掛け者の近くにあった鉄骨が倒れ、その鉄骨とともに転落。

そのまま鉄骨の下敷きになり、玉掛け者が死亡した事故になります。

この事故では事業場へ移送中だったトラックの走行で、荷台の鉄骨が不安定な状態になっていたこと、荷降ろしの際に積載状況を確認していなかったことが原因です。

また、玉掛け者と鉄骨が横転した際に、十分な逃げ場を確保できていなかったことも起因しています。

《労働災害の防止策》

  • 走行中の振動で荷台が不安定にならない積載方法
  • 荷降ろし作業の前に積載状況を確認する
  • クレーンでの荷降ろし作業中、玉掛け者は安全な場所に退避する

まとめ

本稿では死亡事故になった労働災害のうち、「墜落・転落」「挟まれ」「飛来・落下」の3つの事例を紹介しました。

いずれも事前に確認をしておくことで未然に防ぐことができる災害事例です。

ハインリッヒの法則が示すように、“1つの大きな事故には29の小さな事故があり、その背景には300の小さなミス”があるものです。

建設業という人的資本が最大限に必要とされる職種だからこそ、常に安全に対する意識を持つ必要があります。

安全衛生責任者は責任を持って作業員への教育と、安全管理の周知および徹底に励まなくてはなりません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です