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一人親方の労災保険制度と加入のメリットについて

建設業界はゼネコンから協力会社、“一人親方”まで多重下請け構造になりがちな特徴があります。

特に都心部における規模の大きな建設現場では、マンパワーによる迅速な施工計画が前提とされていることが殆どです。

工期を大幅に短縮するためには工賃のカットが必要になります。

そのために大量の人員を投入する関係上、新規作業員の参入障壁も低く、お年寄りから外国人就労者まで年齢層はバラバラ。

昨今では身体全身を動かすという仕事で高収入かつボディメイクに最適なこともあり、若い女性の作業員の姿も見られます。

誰でも就業しやすい建設業界の特色がある反面、参入障壁の低さが原因で、技能が未熟な新規作業員の労働災害も多発しています。

また、作業に慣れた熟練者の気の緩みから事故が発生するケースも。

今回紹介するのは個人事業主として、建設業で見られる一人親方の労災保険についてです。

そもそも一人親方とはなにか?

一人親方労災保険組合の定義は主に下記になります。

一人親方とは?

一人親方とは以下の①~③のいずれかの方を指します。

①労働者を使用せず、会社に雇用されずに個人で仕事を請け負っている方。
②労働者を使用していても使用期間が年間100日未満の見込みの方で、請負契約で仕事をしている方。
③同居かつ同一生計の家族のみで請負契約で仕事をしている方。

引用:一人親方の労災保険特別加入【労災保険特別加入制度について】

一人親方はもともと家業で工務店を営んでいたり、建設会社から独立して個人事業主に移行した立場にあるため、請負先の企業の社員ではありません。

下請けの協力会社として、独立した法人として見なされるため個人事業主の扱いになります。

当然、施工計画書の作製から必要書類の提出、労働災害の責任も全て自力で行う必要があるのです。

仕事を請け負わなければ賃金も発生しないので、生活費用を賄うことも難しくなります。

故に一つの小さな怪我が、業務において大きな障害になり、高額な医療費も自己負担になってしまうのです。

そのため厚生労働省が用意している「一人親方労災保険特別加入制度」の利用が推奨されています。

一人親方労災保険特別加入制度

企業に従事する従業員が業務中に被災した際、その補償を行う制度が労災保険です。

しかし、前記しているように一人親方は個人事業主であり、その補償も全て自分で賄わなければなりません。

ですが、建設業界における一人親方は、実際に携わる業務から事故に被災した場合の災害事例まで、企業に属する作業員とほぼ変わらないことから、個人事業主である一人親方に対しても、労災保険の加入を認める「一人親方労災保険特別加入制度」が用意されているのです。

一人親方労災保険に加入できるかは業種や作業内容次第

実は一人親方と言えば誰しもが国の制度を利用できるわけではありません。

国がフォーカスしているのは主に建設業界での話です。

具体的な工事を行う基準を設けており、建設業の工事に該当する業務を行う人を対象にしています。

・加入できる職種例
解体工事・大工・電気工事・配管工事・造園工事・内装工事・内装仕上工事・ガス工事・とび・足場作り・ガラス工事・道路工事・橋げた工事・鉄筋工事・土木工事・左官工事・屋根工事 ・ほ装工事・タイル、れんが、ブロック工事・石工事・ エクステリア工事・板金工事・塗装工事・防水工事・フィルム工事・熱絶縁工事・水道工事・さく井工事・建具工事・消防施設工事・掘削工事・、機械・器具の据付工事・など

引用:人親方労災保険組合|職種

例えば設備の点検や修理の保守メンテナンスや検査から、建設現場の工場内で資機材の製造のみを専門にしている場合は加入対象外です。

「一人親方労災保険」に加入するメリットは?

一人親方労災保険の特別加入者は、業務や通勤災害に見舞われた場合に、労働基準監督署の認定で給付基礎日額に応じた補償が給付されます。

下記は主なメリットです。

  • 加入していることが元請け会社にとって安心感に繋がる。
  • 業務中の怪我は無料で治療可能。
  • 事故で死亡した場合は遺族補償がある。
  • 治療で休業した場合の休業補償の給付。
  • 後遺症など、障害が残った場合の障害補償。

個人事業主扱いの一人親方にとっては業務を行う上でとても心強い補償が受けられます。

また、ゼネコンや請け負い先の会社にとっても安心感に繋がり、今後の仕事の依頼も継続して受注しやすいと言えます。

建設業界の労働災害発生状況について

引用:建設業における労働災害発生状況

実は建設現場の労働災害は毎年減少傾向にあります。

ですが、昨今の人手不足と言われる情勢から外国人労働者の事故が増えてきました。

大手ゼネコンが主体的に外国人労働者向けの新規入場教育ビデオを用意したり、さまざまな工夫を重ねています。

また、建設業労働災害防止協会が、外国人労働者向けの安全衛生教育などに関する実態調査も行っています。

今後、ゼネコン側が協力会社への情報共有を徹底していく必要がある上で、協力会社も業務に従事している外国人労働者や、一人親方と向き合い続ける必要性があるでしょう。

まとめ

今回は『一人親方の労災保険制度と加入のメリットについて』ということで、独立したばかりで日の浅い職人さんにとって少しでも参考になればと考えています。

昨今の工事現場ではIT技術の発展によって、建設現場の入退場管理やドローンの活用、人員管理システムなど、インフラから働き方まで変わりつつあります。

しかし、死亡事故の水準や業務の危険性の高さはあらゆる分野の業界でも高いのが建設業。

技術が進歩したり、業務の生産性が徐々に効率化をされても常に労働災害のリスクを孕んでいるのです。

万が一の備えとしても一人親方労災保険に加入しない手はありません。

また、一人親方労災保険組合なら労災保険料と月額500円の組合費で加入できます。

被災した場合に手続きなどでかかる費用も発生しないので、煩雑な手続きはあらかた引き受けてくれるのが便利です。

この機会にぜひ、活用できる制度を見直してみてはいかがでしょうか?

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