横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
鉄筋工事において、梁の継ぎ手位置には3種類あります。
梁の継ぎ手位置は難解で、設計者に質疑を出さないとわからないことも度々発生します。
この記事では梁の継ぎ手位置に関して説明していきます。
目次
RC造の梁について
RC造の梁部材には追い出し筋、中間材、追い終い筋の3種類があります。
梁部材を圧接するには500mmずらす
施工上、各部材を圧接する必要がある場合は、圧接の位置を500mmずらして接合するというのが梁部材の基本的な施工方法になります。
継手位置について
梁部材の継手位置について具体的に見ていきましょう。
梁部材の継ぎ手位置は3種類
梁部材の継ぎ手位置は3種類あります。
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1.基礎梁にスラブがつかない独立基礎の場合及び杭基礎の場合(基礎梁の下より地反力を受けない場合) 2.基礎梁にスラブがつく独立基礎の場合(スラブなどの上載荷重を受ける場合) 3.連続基礎及びべた基礎の場合(基礎梁の下より地反力又は水圧を受ける場合) |
梁の継ぎ手位置は設計者のとらえ方によって変わる場合があります。
設計者に質疑をあげて確認することが無難です。
梁の継ぎ手位置は設計者に必ず確認しよう
具体例
では、具体例をみてみましょう。
S0は土間スラブ、S180は土間スラブではないピット上のスラブとします。
上記の図面で、②通りの梁部材の継ぎ手の位置はどうなるでしょうか?
②通りの小梁は、S180の土間スラブではないスラブがついています。つまり、スラブの上載荷重を受ける場合に該当します。
よって、②通りの小梁の梁部材は、「基礎梁にスラブがつく独立基礎の場合(スラブなどの上載荷重を受ける場合)」で、上筋中央・下筋端部の圧接の継ぎ手位置となります。
トップ筋と主筋の本数が「グキる」場合は圧接の位置に注意が必要
「グキる」というのは、主筋とトップ筋が偶数(グ)・奇数(キ)で分かれている場合をいいます。
例えば、主筋の本数が3本で奇数・トップ筋が2本で偶数となる場合です。
なぜ、この場合に注意が必要なのかといえば、圧接位置が500mmずれない箇所が出てきてしまうからです。
上記の図だと、トップ筋と主筋で圧接位置が同じ位置に存在しています。
圧接位置は500mmずらす必要がありますから、この配筋は誤った配筋となり、修正対象になってしまいます。
積算ソフトは、トップ筋と主筋の圧接の位置までは修正してくれませんので、注意が必要です。
「グキる」とは、主筋とトップ筋が偶数(グ)・奇数(キ)で分かれている場合のことを指す
トップ筋と主筋の本数が「グキる」場合は圧接の位置に注意
まとめ
この記事では梁の継ぎ手位置について説明しました。
梁の継手位置は施工上の重要ポイントです。
設計事務所の考えによっては、梁の継手位置の認識が鉄筋施工業者やゼネコンと異なる場合がありますので注意して進めましょう。