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鉄筋コンクリートの材料とその性質

オフィスビルやマンションに用いられる鉄筋コンクリート構造は、引張力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートの両者の強みを巧みに利用した複合構造です。

この2つ材料の性質を理解して、丈夫で長持ちする鉄筋コンクリート建物を計画・施工しましょう。

鉄筋コンクリートの材料

鉄筋コンクリートに使われる材料はコンクリートと鉄筋です。

それでは、最初にコンクリートについて説明しましょう。

コンクリート

コンクリートは、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)、混和材料から構成されます。

これらをコンクリート中に占める体積でみると、もっとも多いのが粗骨材で、次いで細骨材、水、セメント、混和材料の順です。

セメント

石灰石の採掘(秩父・武甲山)

セメントは、石灰石を砕いた粉末が主成分です。セメントの主成分である石灰石は、国内の山に無尽蔵にあるので、産業用の資源が乏しい日本では貴重な岩石です。

石灰石の他に粘土、けい石、鉄原料、せっこうを加えてセメントができます。セメント1tの製造に必要な原料は、おおよそ石灰石1100kg、粘土200kg、その他原料100~200kgです。

セメントの原料はすべて国内で調達できます。

骨材(砂、砂利)

骨材はコンクリートよりも強度が高くて安いので、コンクリートと混ぜるとコストダウンが可能です。普通コンクリートの骨材の体積は全体の70%を占めます。

骨材は、直径が5㎜以下の細骨材(砂)と、直径が5㎜以上の粗骨材に分類されます。

骨材は河川で採られたものが、コンクリートの品質上は最も適していますが、乱獲によって枯渇しそうな状況です。

海砂も用いられるようになりましたが、海砂の産地の瀬戸内海では環境保全のため採取が禁止されてしまいました。

川や海からの天然骨材が手に入りにくくなると、岩石を粉砕した砕石、砕砂が用いられるようになりました。最近では砕石・砕砂は粗骨材の7割、細骨材の3割をしめています。

世界的にもインフラの建設の増加に伴い、天然の骨材は乱獲により枯渇しつつあり、環境問題になっています。

鉄筋

経済産業省

鉄筋の材料となる鉄は、廃材となった鉄スクラップを電気炉で溶かして再生したものです。鉄の強度は工場内で調整されて出荷されます。

鋼材は、コンクリートよりも強度のばらつきが少なく安定した材料です。

鉄筋コンクリートの設計をするときは、鉄筋の品質はコンクリートよりも高いので設計時の材料余裕度はコンクリートよりも少なくできます。

材料自体の性質

コンクリート

コンクリートの硬化

セメントは、水を加えると化学反応を起こして熱を出しながら徐々に固まる性質があります。

そのため、コンクリートと水を練り混ぜるとき、設計に必要な強度となるように材料の調合設計をします。

水が少ないと流動性がなくなりコンクリートを打設するとき、鉄筋の周りに入り込みにくくなってしまうのです。

逆に水の量が多すぎるとコンクリートの強度が低下や、過大な乾燥収縮をおこしてひび割れやすくなります。

ですので、水の量というのはとても大切です。

流体状のコンクリートは、工場から建設現場まで早く固まらないようにミキサー車で回転させながら運ばれます。

現場に搬入されたコンクリートは、鉄筋を囲った型枠の中で、密実になるようにバイブレータなどで振動を与えながら流し込みます。これにより、鉄筋の周りにしっかりとコンクリートを充填することが可能です。

打設されたコンクリートは、固まって型枠を外すまでに1週間ほど必要です。この間を養生期間と呼び、湿潤を維持するために外気に接する面にマットまたはシートで覆って乾燥を防ぎます。

コンクリート強度は、打設4週間後には設計の強度の80%に達します。目標の設計強度が実際に出ているかを調べるため、打設時の円柱試験体を圧縮試験機で壊して確認します。

コンクリートの強度

コンクリートの圧縮強度は普通コンクリートで20N/mm2です。比重は2.3で木材の約4倍の重さになります。

コンクリートは圧縮力に強く引張力に弱い材料です。引張に対する抵抗力は圧縮の10分の1であるため、引張られると簡単にひび割れが生じてしまいます。

コンクリートが引張に弱いので、梁(はり)の中央のコンクリート下面は、重力で引張力が生じやすい部分なので鉄筋を多めに配筋して、ひび割れが生じないようにします。

高層マンション用に製造されるプレキャストコンクリートは、水の割合を少なくし、特殊な混和剤を入れ、高温で養生することにより、200-300N/mm2の高強度を実現しています。

コンクリートのひび割れ

コンクリートは、少ない引張力でひび割れが生じます。

ひび割れを生じさせる大きな要因としては3つあり、乾燥収縮によるもの、温度応力によるもの、骨材反応によるものです。

乾燥収縮によるひび割れ

打設されてから固まるまでに、コンクリート中の水分が飛びことによって収縮が生じます。

このことを乾燥収縮と呼び、乾燥収縮する部材が周りの構造体で拘束されるとひび割れが発生します。

乾燥収縮によるひび割れは、配筋を工夫したり、無・低収縮セメントにして防ぐことが可能です。

温度応力によるひび割れ

打ち込まれたコンクリートは,セメントが硬化するまで発熱して膨張します。その後、コンクリートが固まり温度が下がると部材が収縮します。

そのため、周りの構造体に拘束されたところに打ち込むと、固まるときに冷えて収縮して引張力が生じてひび割れが発生してしまうのです。

断面が100㎝以上の大断面コンクリートはマスコンクリートと呼ばれます。マスコンクリートが、固まるときコンクリートの冷え方が表面と内部で違うため、周りに拘束がなくてもひび割れが発生します。

骨材反応によるひび割れ

アルカリ骨材反応:国交省

粗骨材として安山岩などの火山岩を用いたとき、コンクリートのひび割れが発生することがあります。

アルカリ性のコンクリートとシリカを含む骨材が化学反応して膨張して、表面に亀甲状のひび割れが生じます。

1980年代にこの現象は「コンクリート・クライシス」として話題となりましたが、対策が実施されて沈静化しました。

鉄筋

コンクリートと鉄筋は密着して一体化させることにより大きな荷重に耐えることができます。異形鉄筋はコンクリートとの付着力を高めるため表面に凹凸を付られています。

異形鉄筋

建築構造物では、現在異形鉄筋のみ使用して丸鋼は使われていません。異形鉄筋の凹凸はコンクリートと接触する面積を増やすので、付着力が丸鋼よりも高くなります。

鉄筋は太さの規格を呼び名といい、Deformed barの頭文字からD10、D19などと呼ばれます。D10は直径がおよそ10㎜の異形鉄筋のことです。

鉄筋の性能は降伏点の大きさであらわします。降伏点とは、鉄筋を引張って加えて力を抜いたときに、元の長さに戻らなくなる限界の引張力の値です(弾性限界値とも言います)。

SD295Aは、降伏点が295N/mm2であることをあらわします。

SD295Aは、太さがD10~D16によく用いられ、スラブ筋や柱や梁のせん断補強筋として使われます。SD345は、D19~D25、SD390はD29以上の鉄筋で、柱や梁の主筋として使われます。

最近は構造物の超高層化や長大化に伴い、降伏点が685,785,1275N/mm2の鉄筋が使われてています。

鉄筋の力学的性質

鉄筋はコンクリートの10倍の硬さ(弾性係数)で、強度は10倍程度です。

鉄は延性材料であるためコンクリートのように崩れることはなく、降伏点を超えても大きな変形になるまで破断しないところもコンクリートと較べて信頼性の高い材料と言えます。

温度による伸び縮みがコンクリートと同じ

鉄筋の温度による膨張の性質を表す線膨張係数は 1.0×10-5 です。コンクリートも同じ線膨張係数なので、両者一体となって伸び縮みするため鉄筋コンクリ―内部に温度変化による応力が生じない利点があります。

鉄筋コンクリートとしての性質

鉄筋コンクリートは、19世紀のパリ万博で、コンクリートに鉄筋を入れた植木鉢が出品されたのが始まりと言われています。鉄筋を配置したコンクリートの登場により、それまでにない形状の建築物を建設することが可能になりました。

一方、鉄筋コンクリートが普及する中で、鉄筋が錆びることにより、思ったよりも寿命が短くなるという現象が起きました。

かぶり厚

構造的な一体性を保つと同時に鉄筋が錆びないで耐久性を高めるためには、鉄筋と表面の間にコンクリートが十分の長さあることが必要です。

この表面から鉄筋までのコンクリートの厚さを「かぶり厚」と呼びます。

構造的一体性を保つ

コンクリートと鉄筋は密着して一体化させることにより大きな荷重に耐えることができます。

鉄筋とコンクリートとの付着力を確保するためには鉄筋表面がコンクリートと接触するため十分なかぶり厚さが必要です。

耐火被覆

鉄は熱に弱いため、コンクリートで覆われることにより部材の耐火性能が増します。

鉄筋コンクリートは、耐火構造ですが、高層建物で要求される2-3時間耐火にするには、かぶり厚さを深くとることで対処します。

鉄筋の錆の発生を抑える

もともと強いアルカリ性のコンクリートは、鉄筋の錆の発生を抑える効果があります。

しかし、時間が経つとコンクリートは大気中の二酸化炭素によってアルカリ性が中性化します。コンクリートが表面から中性化して鉄筋位置まで達すると、鉄筋が錆びてしまいます。

かぶり厚さを大きくとることで中性化が到達する時間を遅らせることが可能です。

海岸に建つ鉄筋コンクリート建物は塩分によって錆が発生しますが、かぶり厚を大きくすることで塩害の発生を抑えることができます。

まとめ

鉄筋コンクリートを構成する材料であるコンクリートと鉄と、複合材料としての鉄筋コンクリートの性質をまとめました。

鉄筋コンクリートを構成する材料の性質を理解して、丈夫で長持ちする鉄筋コンクリートの建物の計画、施工にお役立てください。

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