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勤務間インターバル導入コースとは?

「勤務間インターバル導入コース」は、厚生労働省が実施している「時間外労働等改善助成金」の中の1つです。

建築業界の仕事は、「完成予定日」や「納期」が決まっている仕事でもあり、仕事に遅れが出始めると当然に残業や休日出勤が増加してしまいます。

特に、現場監督等は現場での仕事を終えた後、会社に戻って図面修正や資料作成等のデスクワークが待っています。そのため、残業なく仕事をすることが難しいのが実情です。

私が知っている方は、始発で帰宅し、就業時間までに出社するという、いつ寝ているのかもわからない状況でした。これでは、体を壊しますし、仕事中の集中力も減退し、仕事効率が下がる一方です。

この様な状況を改善するために「働き方改革」の一環として登場したのが、「勤務間インターバル」です。

ここでは、「勤務間インターバル」についてご紹介していきます。

時間外労働等改善助成金とは?

「時間外労働改善助成金」は、労働時間短縮のために様々な取り組みを行う中小企業事業主や小規模事業者に対し、その取組に係った経費の一部を助成するというものです。

ここでご紹介する「勤務間インターバル」のほかにも、以下のようなコースがあります。

  • 時間外労働上限設定コース
  • 職場意識改善特例コース
  • 団体推進コース
  • テレワークコース

時間外労働上限設定コースがその名の通り、残業や休日出勤等の時間数を減らす取り組みです。使用者と労働組合等による「36協定」で、上限を決めてその時間内に仕事を終わらせるために、人材を増やしたり新しい機器を導入したりといった具体的な取り組みに対し、助成をします。

職場意識改善特例コースは、新型コロナウイルス感染症対策の1つとして導入されたコースです。濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされた方や、休校・休園中の子供のために仕事に行くことが難しい従業員のために、休める環境を整備することが目的です。

団体推進コースは、唯一、中小企業事業主団体が対象となるコースで、団体の構成員である事業主が雇用する従業員等の働く環境整備のために、団体構成員のために行った取り組みに対し助成します。

テレワークコースは、自宅やサテライトオフィスで働くことを目的とし、小さな子供がいる従業員や親の介護をしなければならない従業員等を対象に、在宅勤務の導入を促進する事業主に対し、助成するものです。

現在は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、テレワークを導入する事業主に対しても、助成金の支給を実施しています。

この様な助成金制度を設けた背景には、「労働時間等設定改善法」(平成31年月1日施行)があります。この法律の目的は「ライフ・ワーク・バランス」です。

労働時間を見直し、労働者の健康維持を目指し、作業効率の向上を図ることが求められています。そのためにも、事業主の方の意識改革や、労働時間等設定改善に向けての積極的な取り組みが必要なのです。

勤務間インターバル導入コースとは?

労働時間の短縮により、勤務終了後から次の勤務開始までの間の「休息時間」をしっかりと摂れるように取組を実施した企業に対し、助成するものです。

勤務間インターバルとは?

「勤務間インターバル」とは、仕事が終わってから次の仕事が始まるまで、一定の時間以上の「休息時間」を作るというものです。

例えば、以下の図のようなものです。

画像引用:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/interval.html

この図は、導入の一例ですが、残業で夜遅くまで働いた翌日は、始業時間を繰り下げて「休息時間」を確保するというものです。

この他、社内で働ける時間を例えば夜10時までとし、それ以降は残業が出来ない様にしたり、早朝から出社して仕事をしてはいけないとしたり、時間外労働の時間を限定することで「休息時間」を取るという方法もあります。

対象となる事業主は?

せっかく、勤務間インターバル導入に向けた取組を実施しても、助成金支給対象でなければ助成金を受け取ることは出来ません。

では、支給対象となるのはどんな事業主なのでしょうか?

以下の要件、全てに該当する中小企業事業主が、支給対象となります。

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 以下のいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
    • 勤務間インターバルをまだ導入していない事業場
    • 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入していて、その対象となる労働者数がその事業場で雇用されている労働者数の半数以下である事業場
    • 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場

ちなみに、中小企業事業主とは、以下の表の資本金額または常時雇用する労働者数のどちらかに該当する事業主のことです。

業種 資本又は出資額 常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

どんな取り組みが対象となる?

画像引用:https://www.mhlw.go.jp/content/000581484.pdf

助成金支給の対象となる取組は、以下の10項目です。この中から1項目以上の取組を実施しましょう。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
    企業側で意識を変え、時間外労働時間の軽減や勤務間インターバルを導入しても、労働者側の意識が変わらなければ、実現しません。そのためにも、労働者に対する周知徹底や、意識改革も導入に向けて必要となってきます。
  3. 外部専門家によるコンサルティング
    時間外労働時間の削減によって生じ得る問題点について、その解決策を相談する必要もあります。そのため、中小企業診断士や社会保険労務士、経営コンサルタント等に相談し、問題解決に向けて何をすれば良いのかという、解決策を提案してもらいます。
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入等)
    例えば、残業できる時間を「夜10時まで」と限定する場合等、就業規則の変更が必要となります。口頭で「何時までですよ」と言ったところで守られることはありませんし、罰則を設けることも出来ません。また、書面等で記録が残っていないと、本当に導入しているのかどうかの判断が出来ません。
  5. 人材確保に向けた取組
    1人当たりの労働時間数を削減するということは、その分人手不足となる可能性が高くなります。その不足分を解消するために、人材を増やすことも、取組の1つとして認められています。
    また、「時間外労働等改善助成金」を使って、1人当たりの労働時間の削減を促進する企業には、別途「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」で助成金を受けることが出来ます。
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計の導入・更新
    雇用する労働者の出勤時間と退勤時間を把握することも、労働時間の削減につながります。
  9. テレワーク用通信機器の導入・更新
  10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

これら機器の導入の中に、パソコン、タブレット、スマホの導入は含まれません。

さて、ここで問題です。「自分の企業はどの取り組みを導入すれば良いのか?」

その問題の答えは、厚生労働省の専用ページにあります。

様々な企業の導入事例が掲載されていますので、それら事例を参考にしてみましょう。導入に至った経緯や、導入後の課題等が書かれています。

成果目標の設定


さて、勤務間インターバルの導入に際し、様々な取り組みが必要ということはここまででご理解いただけたと思います。

ただし、ただ何となく取り組めば良いのではなく、「成果目標」の達成を目指して取り組む必要もあります。

先にご紹介した10項目の取組を実施するにあたり、以下のことを行ってください。

  1. 事業計画を立てる
    1. 事業を実施する支店・営業所等を指定する
    2. 休息時間数が以下のどちらかに当てはまる勤務間インターバルを導入する
      • 9時間以上11時間未満
      • 11時間以上
  2. 以下のいずれかに取り組むこと
    1. 新規導入の場合
      • 事業計画で指定された支店・営業所等に所属する労働者の半数超の労働者を対象とすること
      • 休息時間数9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を就業規則等に定めること
    2. 適用範囲を拡大する場合
      • 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している支店・営業所等が対象
      • 現在の勤務間インターバルの対象となる労働者数が半数に満たない場合、対象範囲を拡大し、当該支店・営業所等内の労働者の半数超を対象とすることを就業規則等に規定すること
    3. 休息時間を延長する場合
      • 既に勤務間インターバルを導入しているが、その休息時間数が9時間未満の支店・営業所等が対象
      • 当該支店・営業所等内の労働者の半数超を対象として、休息時間数を2時間以上延長し、9時間以上とすることを就業規則等に規定すること

成果目標を達成するといくらもらえるの?

まず、助成金は先にご紹介した10項目の取組を実施するにあたり要した経費に対して、支給されます。また、先ほどの成果目標の達成状況に応じて支給される上限額が変わります。

【支給額の計算】

対象となる経費の合計額 × 補助率3 / 4

基本的には、こちらの計算で算出された額が支給額となります。ただし、以下の表にある「上限額」を超える場合は、上限額が支給されます。

休息時間数 「新規導入」に該当する取組がある場合 「新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」又は「時間延長」に該当する取組がある場合
9時間以上11時間未満 80万円 40万円
11時間以上 100万円 50万円

申請と助成金支給申請の方法は?

次に助成金支給の申請方法についてご説明します。

この「時間外労働等改善助成金」の申請では、事業実施の前に「交付申請」で事業計画などを申請しなければなりません。

この「交付申請」で交付決定を受けないと、勤務間インターバル導入のための取組を実施しても、助成金は給付されません。

その手続きの流れを、図で確認してみましょう。

画像引用:https://www.mhlw.go.jp/content/000581487.pdf

このフローチャートは2019年度版です。そのため、支給申請書の受付期限が2020年2月7日となっています。2020年度版の助成金の交付はまだですので、2020年4月1以降、厚生労働省のHPで改めて確認してみましょう。

さて、手続きですが、まずは事業計画書を作成するところから始まります。事業計画を作成するだけでなく、以下の書類の準備も必要です。

  1. 時間外労働等改善助成金交付申請書(様式第1号)・・・原本1部
  2. 事業実施計画(様式第1号別添)・・・原本1部
  3. 事業に取り組む前の勤務間インターバルの導入状況を確認するための書類・・・写し1部
    • 就業規則、労使協定、労働条件通知書 等
  4. 見積書・・・写し1部
    • 事業を実施するために必要な経費の算出根拠が判る資料
    • 導入する予定の機器やソフトウェアの内容が分かる資料 等

以上、4点を準備して管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。

チャートにあるように、労働局側で交付をするかどうかを決定し、通知を出します。交付決定の通知を受け取ったら、計画していた事業を実施します。

交付決定後に事業計画に変更がある場合は、必ず事業開始前に事業実施計画変更申請を行います。申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 事業実施計画変更申請書(様式第4号)・・・原本1部
  2. 事業実施計画(変更)(様式第4号別添)・・・原本1部
  3. 見積書・・・写し1部

事業が終了したら、助成金支給の申請を、決められた期限までに行います。申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 支給申請書(様式第10号)・・・原本1部
  2. 他の補助金の助成内容が分かる資料・・・写し1部
    • 国や地方自治体から他の補助金を受けている場合のみ、提出
  3. 事業実施結果報告書(様式第11号)・・・原本1部
  4. 労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会について、客観的に話し合いが行われたことが分かる資料・・・写し1部
    • 参加者名簿(役職名入り)、議事録、話し合いを行った際の写真
  5. 労働時間等に関する個々の苦情、意見及び要望を受け付けるための担当者の選任について、何時どの様に周知したのかが客観的に判る資料・・・写し1部
    • メール、社内報、周知文書、掲示物の写真など
  6. 労働者に対する事業実施計画の周知について、何時どの様に周知したのかが客観的に判る資料・・・写し1部
    • メール、社内報、周知文書、掲示物の写真など
  7. 事業の実施に要した費用を支出したことが確認できる書類・・・写し1部
    • 銀行振込受領書、領収書、請求書 等
  8. 事業を実施したことが客観的に判る資料・・・写し1部
    1. 10項目の取組の内、何を実施したのかが客観的に判る資料
      • 研修の写真、導入した機器などの納品書、変更後の就業規則などの写し 等
  9. 成果目標の達成状況に関する証拠書類・・・写し1部
    • 就業規則、労使協定等

以上、申請手続きの手順と、必要な書類についてご紹介しました。

これら、必要書類は厚生労働省のHPからダウンロードできます。

また、申請書類の書き方などが記載された「申請マニュアル」もありますので、参考にしてください。

まとめ

従業員の健康を守り、作業効率を上げるために、先ずは中小企業事業主が意識改革を行う必要があります。

助成金を使った時間外労働等改善のための事業実施は、その意識改革の良いきっかけになるのではないでしょうか?

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