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BIMは誰でも簡単に導入できるのか?

BIMは建築業界において有用性が高く、導入促進が望まれる高性能なソリューションシステムです。

ですが、大手ゼネコンや大手設計事務所などでの導入が進む一方で、個人経営の工務店などにはまだまだその存在すら浸透していないのが実情です。

導入が進まない様々な要因の中には、以下のようなものもあります。

  • 導入前に何を準備すれば良いのか
  • 誰でも簡単に導入できるのか
  • 導入後の運用は出来るのか
  • 導入したら本当に作業効率の向上や現場でのミス軽減につながるのか

この記事では、BIMの代表的なソフトを紹介するとともに、これらの疑問・不安についてお答えしていきます。

BIMを導入する前にすべきことは?

先ずは、BIMを導入する前に何をすれば良いのかという点についてご説明します。

専用パソコンとネットワーク環境を整える

BIMを導入するにあたり、最初に考えるのが今現在使用しているパソコンや社内ネットワークで運用できるのかといった問題があります。

パソコンを準備する

BIMは、高性能なソリューションシステムであり、3Dモデルを作成し、3DCGやウォークスルーアニメーションを作成することが出来るソフトです。

ということは、ストレスなく作業をするためには、各ソフトが推奨しているスペックを持ったパソコンが必要ということになります。

今現在のパソコンにそれだけのスペックが整っていないのであれば、ソフト導入と一緒にパソコンも新しくする必要があります。

ここで問題になるのが、何台必要になるのかという点です。BIMを運用する人数分は最低限必要となります。

例えば、個人経営の工務店などで、BIMを運用するのが1人だけであれば導入するBIMソフトのライセンスも1台ですので、パソコンも1台で十分です。

ただし、個人使用ができるスタンドアロンタイプのライセンスは、ソフト1台に対し2ライセンスが同梱されていることがあります。同時使用は出来ませんが、2台のパソコンにインストールして使用することも可能です。

このような場合には、社内で使用するデスクトップタイプのパソコンと、社外に持ち出せるノートパソコンの2台を準備すると良いでしょう。

複数人で運用する場合には、人数分のパソコンを準備する必要があります。

ネットワーク環境を整える

複数人でBIMを運用する場合、複数のパソコンとライセンスが必要となります。

BIMソフトの中には、スタンドアロンタイプのライセンスの方が安価に設定されていることがあります。ただし、この様なソフトは複数台購入してもネットワーク環境でデータの共有が出来ませんので、共同作業には向かず、複数台準備をしても役に立ちません。

2人以上で使用する場合には、ネットワークライセンス版のソフトを準備しましょう。

ネットワークライセンス版は、サーバーとなるパソコンでライセンスを管理し、そのサーバーに接続するパソコンでソフトを使用することが出来るというものです。

その為、新たにサーバーを構築するか、現在あるサーバーで運用するかを決定し、また、サーバー管理者を設定する必要もあります。

ネットワークライセンス版は、サーバーに繋がるすべてのパソコンにソフトをインストールして、使用することが出来ますが、サーバーに登録されたライセンス数で使用できる台数を制限することも出来ます。

そのため、部署ごと、チームごとにライセンス管理を行い、最低限のライセンス数で効率よく運用することも可能です。

操作習得のためにすべきこと

 

BIMソフトを導入しても、操作できなければ無用の長物。無駄になってしまいます。

そこで、導入までに出来るだけ基本操作程度は習得しておく必要があります。

スクールに通う

操作習得と言っても、どうすれば良いのか見当もつかないという方には、各社が実施しているセミナーへの参加をおススメします。

下記のような種類で、定期的に操作習得のためのセミナーを実施していますので、導入予定のソフトを販売している企業のセミナースケジュールを確認してみましょう。

  • Winスクール
  • Revitコース
  • VectorWorksコース
  • 大塚商会(販売代理店)
  • Revitコース
  • BIM / CIMコース
  • 日建学院
  • DRA-CAD(オンライン)

セミナーには、有料と無料があり、有料であれば自分でBIMソフトを操作しながら講義を受けることが出来ます。

その他、パソコン教室などで短期コースを実施していることもありますので、確認してみましょう。

体験版を活用する

多くのBIMソフトが、30日間の無料体験版を準備しています。

無料体験版は、操作性を確認するだけでなく、実際に今使っているパソコン上で起動できるかといったことを確認することが目的です。

そして、30日間の間に、各社がネット上に公開している操作マニュアルやチュートリアル、市販されている操作テキストなどを見ながら、基本的な操作を習得していきます。

この方法なら、仕事の合間に講義時間を気にすることなく操作習得が出来ます。ただし、独学での習得となりますので、判らないことが合っても質問できる相手がいないというのが難点です。

資格取得の必要性

さて、多くの場合、CADの操作となれば派遣社員などの非正規雇用の方が中心となります。

その為、CADオペレーターと呼ばれる方の中にはCADの資格取得を目指す方も少なくありません。

ですが、そのCAD資格として有名な「3次元CAD利用技術者資格試験」には、建築科目は準備されていません。あくまでも製造系3DCADを対象とした資格試験になります。

では、BIMに特化したCAD資格は存在するのでしょうか?

BIMのための資格はあるのか?

結論から言えば、存在します。但し、公的資格ではありません。

Autodesk社が実施している「オートデスク認定Revit Architecture ユーザー」と、A&A社が実施している「VectorWorks操作技能認定試験」の2種類です。

その他のBIMソフトに対応した資格は、今のところ存在しません。

資格がなければ仕事は出来ないのか?

では、この2種類のBIMソフト以外を使用している企業に就職する場合、これらの資格は意味をなさないのでしょうか?

これも、結論から言えば、NOです。

BIMソフトの基本的な操作と最低限の理論を理解しているという証でもありますので、その他のBIMソフトでも十分に役立つと判断できます。

しかしながら、BIMを操作するのに資格が必要かという点に関して言えば、資格は必要ありません。あくまでも、自身のスキルをアピールするために必要というにすぎないのです。

BIMに対応したソフトは?

ここからは、BIMに対応したソフトについてご紹介していきます。

BIMの価格帯

BIMというソリューションシステムは、高性能であるがゆえに、残念ながらかなり高額です。

では、どの程度の価格帯なのでしょうか?また、価格の安い廉価版というのは存在するのでしょうか?

代表的なBIMソフトの単価は?

代表的なBIMとしては、以下に紹介をしますが、これらの価格は概ね50万円以上となります。

Autodesk社のみ、サブスクリプション方式を取り入れていますので、他のBIMのように「基本価格」はいくらで、「ライセンス1本あたり」いくらといった計算方法ではありません。

ですが、導入と長期間の運用を考えれば、およそ50万円以上となります。高いですよね。

廉価版はあるのか?

では、価格の安い廉価版というのは存在するのでしょうか?

スタンドアロンで使用する場合には、他のユーザーとのデータ共有や共同作業が出来ない分、30万円前後で提供されています。

その他、個人住宅などの小規模建築物に特化した、3DCADとして販売されているソフトであれば、BIMと同様の機能を持ちながら、低価格で設定されているものもあります。

Atuodesk Revit

画像引用:https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview (「Revitと他の製品を組み合わせて使用」動画から)

【基本情報】
メーカー Autodesk社
用途 建築物のモデリング、構造の解析・シミュレーション、設計図書の生成、ほか
オペレーティングシステム Windows 10(64bit)
・Windows10Enterprise
・Windows10Pro
ライセンス シングルユーザー
無償体験版 30日
価格(サブスクリプション) ※シングルユーザーライセンスの希望小売価格(税込み)
Revit 48,400円/1か月
388,300円/1年間
1,048,300円/3年間
Revit LT 9,900円/1ヶ月
77,000円/1年間 
207,900円/3年間
学生版価格 無償(アカウント登録が必要)
返金保証 30日※1か月コースは15日以内)
購入方法 公式オンラインサイトからダウンロード
販売代理店で購入
操作習得方法 Autodesk社公式サイトのマニュアル動画視聴
Autodesk社が行う講習会に参加
パソコン教室などが実施している講習を受講

BIMの代表的ソフト Revit

Revitは、建築物の3Dモデリングや設計図書の生成だけでなく、チーム内での作業共有、解析、レンダリングなどが行える機能が備わっています。

そのため、よりリアリティのある3DCGの作成や鉄筋の詳細設計、構造解析などを全てRevitの中で行うことが可能です。

実は、RevitにはLT版もあります。こちらは、より機能をスリム化した費用対効果の高いBIMソフトで、大手ゼネコンの様にビル建設だけでなくインフラ整備も含んだ都市開発を行うのでなければ、こちらのLT版で十分です。

また、AutoCAD Revit LT Suiteという、AutoCADLTとセットになった製品もあります。

ArchiCAD

画像引用:graphisoft.co.jp

【基本情報】
メーカー グラフィソフトジャパン株式会社
用途 3Dモデル作成、2D図面作成 等
オペレーティングシステム Windows Windows10(64bit)
Mac 10.14Mojava
10.13High Sierra
ライセンス シングルユーザーライセンス、ネットワークライセンス
無償体験版 30日
価格 ArchiCAD23:840,000円(税抜)
ArchiCAD23Solo:345,000円(税抜)
※ハードウェアプロテクトキー:5,000円(税抜)/本
学生版価格 無償(アカウント登録と学生証のコピー提出必須)
返金保証
購入方法 ダイレクト販売、代理店販売
操作習得方法 グラフィソフト公式サイトから、入門書をダウンロード
公式サイトから「How to use」を閲覧
会員専用のオンラインスキルアップセミナー動画視聴
市販テキストで学習

機能性No.1のBIM

30年以上、BIMとしての機能性を追求し続けているBIMソフトです。使いやすさや導入のしやすさも考慮した開発で、大手ゼネコンのほか大手設計事務所にも導入されています。

企画・デザインから基本設計、確認申請、実施設計、構造・設備連携、解析と分析、施工計画、維持管理まで、全てArchiCAD上で行えます。

さらに、チームで1つの物件を、同時に作業することも出来ます。

VectorWorks

画像引用:aanda.co.jp

【基本情報】
メーカー VectorWorks inc.
用途 3Dモデル作成、2D図面作成 等
オペレーティングシステム Windows Windows10(64bit)
Windows8 / 8.1(64bit)
Mac 10.15(Catalina)
10.14(Mojave)
10.13(High Sierra)
10.12(Sierra)
OS X 10.11(El Capitan)
ライセンス シングルライセンス、ネットワークライセンス
無償体験版 30日
価格 スタンドアロン版 Architect2020:416,000円(税抜)
保守付き:458,000円(税抜)
他者乗換版(保守付):395,000円(税抜)
ネットワーク版 基本パッケージ(2ライセンス同梱):610,000円(税抜)
Architect追加モジュール:111,000円(税抜)
学生版価格 無償(アカウント登録が必要)
返金保証
購入方法 ダイレクト販売、代理店販売
操作習得方法 A&Aによる有料のリアルセミナー(東京のみ)
Webセミナー(有料)
カスタマイズセミナー(有料)
無料体験セミナー
ダウンロード版チュートリアルによる独学

建築設計以外でも使用されているBIM

VectorWorksは、BIM対応の建築設計や、インテリアデザイン向けのVectorWorks Architect版のほか、都市計画用のLandmark版、ステージやライディングデザイン専用のSpotlight版、全ての機能を網羅したDesigner版があり、

建築業界だけでなく、製造、土木のほか、エンターテイメント業界でも利用されている3DCADです。

DRA-CAD

画像引用:https://www.youtube.com/watch?v=14SS_UR_vK0

【基本情報】
メーカー 株式会社建築ピボット
用途 3Dパース、CG作成、3Dモデル作成、2D図面作成 等
プラットフォーム Windows10
Windows8.1
ライセンス
無償体験版 機能制限あり(ファイル保存数など)
価格(税込み) 209,000円(定価)
188,100円(オンライン販売価格)
返金保証 なし
購入方法 建築ピボットの公式サイトから購入可能
または、販売代理店から購入
操作習得方法 株式会社建築ピボット主催のセミナー/スクールに参加
日建学院HPで開講している映像講座を受講(有料)

日本製BIM

今回ご紹介した中では、このDRACADのみが日本製BIMです。

30年以上も昔の2DCADの頃から、多くの設計事務所やゼネコンなどに愛されている古参のCADです。

3D機能では、3DパースやCGを作成するだけでなく「SketchUp」のデータを読み込んだり、作成した3Dモデルを「Google Earth」に配置したりと、データを活用することも出来ます。

さらに、QRコードを作成し、図面や画像に貼付け情報を共有することも可能。スマホでQRコードを読み込めば、外出先で図面に与えた情報を確認することも出来るのです。

また、日本製ということもあり、他のCADに比べて同じ日本製のCADでもあるJWWとの互換性が高く、レイヤグループの情報も正しく変換されます。

まとめ

BIMは高性能であるがゆえに、高額で、中々導入に踏み切れないのではないでしょうか?

しかし、導入することで作業効率の向上と施工でのミスが軽減されることは間違いがありません。

費用対効果もあわせ、検討する価値は十分にあると言えます。

体験版などを上手く活用し、その有用性を理解したうえで導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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