3DCADの種類と導入方法をご紹介!建築の3DCADにはどんなものがある?

昨今、大手ゼネコンはもちろん、個人経営の工務店や設計事務所でも作業効率の向上、ミス軽減を目的として、3DCADが導入されています。

そのため、3DCAD操作習得のカリキュラムが組み込まれている大学や専門学校も少なくありません。

当然、就職時に「3DCADの操作が出来る」というスキルは、十分なアピールポイントにもなり得るのです。

しかしながら、全ての学生が3DCAD操作習得の授業を受けているわけではありません。そこで、ここでは自宅学習を希望する学生のために、3DCADの種類と導入方法についてご紹介します。

建築系3DCADの種類

建築の3DCADには、一般住宅などの小規模建築物の設計を目的としたCADもあれば、複合ビルやマンションなどの大規模建築物の設計を目的としたCADまで、様々です。

出来ることなら、就職先が使用しているCADの操作を習得したいところですが、個人で購入するには3DCADは高価すぎます。

そこで、ここでは特に、学生でも簡単に購入できる高性能な3DCADをご紹介しましょう。

3DCADの価格帯は?

先ほども触れましたが、3DCADは一般的に高価でなかなか手が出るものではありません。

個人経営の工務店などでも、導入にあたってはコスト面を重視し、中には社員全員分のライセンスを取得できないという実情もあります。

では、値段が高いといってもどの程度の価格なのでしょうか?

多くのCADでは、ライセンス購入が基本となります。シングルユースであっても、ライセンスが必要です。購入したライセンス数に合わせて使用できる台数が変わります。

ということは、3DCADを購入するには本体だけでなくライセンス価格も考慮する必要があるのです。

まず、本体価格ですが、対応する建築物の規模に関係なく概ね30万円以上です。そこに、年間の保守点検契約やライセンス契約などを含めると、100万円以上かかることもあります。

もし、シングルユースで使用するなら、Autodesk社の3DCADがおススメです。

なぜなら、Autodesk社はサブスクリプション方式をとっており、契約期間によって月額利用料が変わります。高性能な3DCADでも、月額1万円未満で利用することも可能です。

AutoCAD

出典:https://www.autodesk.co.jp/

AutoCADは、Autodesk社の代表的な3DCADです。業種別のツールセットを使うことで、建築設計だけでなく、電気設備設計、機械設計などにも活用できます。

また、インターフェースやコマンド操作は2DCADのAutoCADLTと同じですので、既にLTを使っている方には馴染みやすいCADと言えるでしょう。

但し、他の建築系3DCADの様に、2D図面を作成すればそのまま直ぐに3D形状が生成されるといった機能が搭載されていないため、3D形状を作成するためのコマンド操作を習得する必要があります。

【基本情報】
メーカー Autodesk社
用途 3Dモデル作成、2D図面作成 等
オペレーティングシステム Windows Windows7SP1(更新プログラムKB4019990必要)
Windows8.1(更新プログラムKB2919355必要)
Windows10(Ver1803以降)
Mac Catalyst v10.15(Update 2020.1が必要)
Mojave v10.14
High Sierra v10.13
ライセンス シングルユーザーライセンス、マルチユーザー(ネットワーク)ライセンス
無償体験版 30日
価格(サブスクリプション) ※シングルユーザーライセンスの希望小売価格(税込み) 26,400円/1か月
209,000円/1年間
564,300円/3年間
学生版価格 無償(アカウント登録が必要)
返金保証 30日※1か月コースは15日以内)
購入方法 シングルユース:公式オンラインサイトからダウンロード
マルチユース:販売代理店から
操作習得方法 Autodesk社公式サイトのマニュアル動画視聴
Autodesk社が行う講習会に参加
市販されているテキストを購入し、独学

ArchiCAD

画像:キャプチャ(3Dモデルはサンプルデータを使用)

ArchiCADは、使いやすさや導入のしやすさを考慮して開発されています。更に、昨今耳にする機会が増えた「BIM(Building Information Modeling)」としての機能性を30年もの長きに渡り、追求し続けています。

その結果、設計スピード、効率性、正確性の向上に貢献。更には、施工部門での活用、施工管理での活用により、作業ミスの軽減にも貢献しています。

【基本情報】
メーカー グラフィソフトジャパン株式会社
用途 3Dモデル作成、2D図面作成 等
オペレーティングシステム Windows Windows10(64bit)
Mac 10.14Mojava
10.13High Sierra
ライセンス シングルユーザーライセンス、ネットワークライセンス
無償体験版 30日
価格 ArchiCAD23:840,000円(税抜)
ArchiCAD23Solo:345,000円(税抜)
※ハードウェアプロテクトキー:5,000円(税抜)/本
学生版価格 無償(アカウント登録と学生証のコピー提出必須)
返金保証
購入方法 ダイレクト販売、代理店販売
操作習得方法 グラフィソフト公式サイトから、入門書をダウンロード
公式サイトから「How to use」を閲覧
会員専用のオンラインスキルアップセミナー動画視聴
市販テキストで学習

VectorWorks

画像引用:https://www.vectorworks.net/en-US/architect/features?filterBy=Capability&filterValue=Building+Information+Modeling 内の動画

VectorWorksには、各分野に特化した機能を搭載した製品ラインナップがあり、これまでにご紹介した2社とは違い、一般的な建設業の支援に特化した3DCADではなく、エンターテイメント業界での舞台設計や照明設計などの支援も行っています。

更に、工業デザインにも対応した製品もあり、家具や照明器具のデザインなどにも活用できるのです。

【基本情報】
メーカー VectorWorks inc.
用途 3Dモデル作成、2D図面作成 等
オペレーティングシステム Windows Windows10(64bit)
Windows8 / 8.1(64bit)
Mac 10.15(Catalina)
10.14(Mojave)
10.13(High Sierra)
10.12(Sierra)
OS X 10.11(El Capitan)
ライセンス シングルライセンス、ネットワークライセンス
無償体験版 30日
価格 スタンドアロン版 Architect2020:416,000円(税抜)
保守付き:458,000円(税抜)
他者乗換版(保守付):395,000円(税抜)
ネットワーク版 基本パッケージ(2ライセンス同梱):610,000円(税抜)
Architect追加モジュール:111,000円(税抜)
学生版価格 無償(アカウント登録が必要)
返金保証
購入方法 ダイレクト販売、代理店販売
操作習得方法 A&Aによる有料のリアルセミナー(東京のみ)
Webセミナー(有料)
カスタマイズセミナー(有料)
無料体験セミナー
ダウンロード版チュートリアルによる独学

スタンドアローン版は、1ライセンスでパソコン2台までインストールが可能です。但し、同時に使用することは出来ません。

また、ネットワーク版は追加ライセンスの本数により、追加価格が変わります。

導入するために必要なことは?

3DCADを導入する際には、ただソフトをダウンロードすれば良いというわけではありません。事前に知っておくべき情報もあります。

ライセンス登録は必要か?

結論から言えば、必要です。

利用環境によって取得するライセンスに違いがあります。

例えば、個人経営の工務店など利用者が限定されているような場合には、スタンドアロンタイプのライセンスが必要となります。

この場合、ライセンスキーが発行されるか、USBストレージがソフトに同梱されているかのどちらかです。

一方、大手企業で利用者が多くいる場合には、ネットワークライセンスの取得が必要となります。この場合、社内ネットワークの構築と、管理者の設置が必要となります。

ネットワークライセンスは、サーバーにより管理します。

サーバーに登録されたライセンスの本数内であれば、このサーバーにアクセスしている全てのパソコンで3DCADを利用することが出来るだけでなく、データを共有することも可能です。

3DACDはノートパソコンでも動くの?

3DCADは、そのソフトの特徴から、CPU、RAM、メモリ、グラフィックなど、各社が動作環境を発表しています。

特に、CGやウォークスルーアニメーションを作成するには、それを計算するだけの性能と容量が必要となります。

つまり、現在使用しているパソコンのままでは、利用できない可能性もあるということです。

各社が推奨している動作環境を保有していないパソコンを使用している場合は、新たにパソコンの導入も考慮する必要があります。

但し、動作環境さえ整っているなら、ノートパソコンでも問題なく動かすことは可能です。

もし、現在使用しているパソコン性能に不安があるなら、体験版をインストールして動かしてみましょう。

操作習得は簡単に出来るのか?

市販されているテキストが有れば、それを購入し独学で習得することも可能です。また、パソコン教室などに通う時間と金銭的余裕があるなら、短期講習を受講するという方法もあります。

ここで紹介した3種類のCADの場合、各社がそれぞれ独自の無料マニュアルを準備しています。中には動画によるマニュアルもあり、視覚的に操作を理解することも出来ます。

更に、独自にセミナーを開講している場合もあり、講師に質問しながら習得することも可能です。

因みに、操作習得が簡単か否かという点は、本人の理解力の違いにあるため、「簡単に覚えられる」とはこの場では言わないでおきます。

建築系3DCADの資格は?

画像引用:https://www.aanda.co.jp/exam/basic/index.html

CADに特化した資格試験には、以下のようなものがあります。

  • 2次元CAD利用技術者資格試験
    • 2次元CADに特化した試験
    • 製造、建築、土木から選択可能
  • 3次元CAD利用技術者資格試験
    • 製造系3DCADのみに対応
  • 建築CAD検定試験
    • 建築CADに特化した試験
    • 4級~准1級がある
    • 2DCADのみ
  • AutoCADユーザーオートデスク認定資格プログラム
    • AutoCADを400時間以上使用経験がある方向け
    • 建築に特化しておらず、製造業での使用に関する知識も必要
  • オートデスク認定Revit Architectureユーザー
    • 建築系3DCADでもあるRevitの操作が出来るという証明のための認定試験
  • VectorWorks操作技能認定試験
    • 日本国内総販売元であるA&A株式会社が主催
    • VectorWorksの基本操作技能取得を証明する試験
    • インターネット試験のため、いつでも受験可能

CADの操作に資格は必要ありません。ですが、合格証や認定証を持っていれば、自身のスキルをアピールすることが出来ます。

まとめ

建築系3DCADは、2DCADに比べ高額でなかなか手に入れることが出来ません。ですが、購入することで作業効率が向上し、また、ミス軽減にも繋がるというメリットもあります。

更に、今後大手企業のみならず、中小の建設業にも3DCADの導入が進むことが予想される今、3DCADの操作技能を高めることは、自身の就職にも十分に役立つことでしょう。