横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科卒
一級鉄筋技能士
今回は、2DACDの導入を検討している方に、建築業界で多くの企業が導入している2DCADをご紹介します。
また、導入に際し、何を基準にすればいいのか悩んでいる方のために、ご紹介したCADの比較検討も行います。
2DCAD導入の参考にしてください。
目次
建築系2DCADの代表格を紹介
建築業界で多くの企業の支持を受けている2DCADを4つあります。AutoCADLT・JWW・DRA-CAD・ARCDRAWの4つです。順番にご紹介します。
AutoCADLT
AutoCADLTは、汎用CADと呼ばれるCADの代表格です。その為、建築系企業だけでなく、製造・土木業界でも多く活用されています。
【基本情報】
メーカー名 | Autodesk社 |
用途 | 2D作図、図面、ドキュメント作成 |
プラットフォーム | Windows、Mac |
ライセンス | シングルユーザーライセンス |
無償体験版 | 30日 |
価格(サブスクリプション) ※必要な期間のみ契約。満期後は更新可 |
7,700円/月 48,675円/1年 131,175円/3年 |
返金保証 | 30日 ※1か月コースは15日 |
購入方法 | Autodesk社から直接ダウンロード または、販売代理店から購入 |
操作習得方法 | Autodesk社公式サイトのマニュアル動画視聴 Autodesk社が行う講習会に参加 市販されているテキストを購入し、独学 |
JWW
JWWは、正式名称「JW-CAD for Win」という、日本製のCADの代表格です。建築設計者向けに開発されたCADですので、天球図や日影図などの作成も行えます。
但し、無償で簡単に手に導入できるということもあり、建築業界に限らず、製造・土木業界などでも多く活用されています。
【基本情報】
メーカー名 | 個人(開発者) |
用途 | 2D作図、日影図、2.5D立体図、ドキュメント作成 |
プラットフォーム | Windows |
ライセンス | フリー、ライセンス登録の必要はありません。 |
無償体験版 | - |
価格 | 無料 |
返金保証 | - |
購入方法 | ネットからダウンロード 市販されているマニュアルに添付されているCD-ROMなどからインストール |
操作習得方法 | 市販されているテキストを購入し、独学 ネット上にあるJWWユーザーのサイトを検索 |
DRA-CAD
DRA-CADは、日本製の建築に特化した専用CADで、大手ゼネコンでも導入されています。
ただ、DRA-CADは3次元機能も持っている専用CADですので、2次元のみを検討されているのなら、「DRA-CAD LE」がおススメです。
【基本情報】
メーカー名 | 株式会社建築ピボット |
用途 | 2D作図、図面、申請、プレゼンなど |
プラットフォーム | Windows |
ライセンス | アクティベーション認証 |
無償体験版 | 機能制限あり |
価格 | DRA-CAD18 : 209,000円 DRA-CAD18 LE : 104,500円 |
返金保証 | なし |
購入方法 | 建築ピボットの公式サイトから購入可能 または、販売代理店から購入 |
操作習得方法 | 株式会社建築ピボット主催のセミナー/スクールに参加 日建学院HPで開講している映像講座を受講(有料) |
ARCDRAW
設備業界で多く導入されている「CADWe’ll Tfas」と同じ株式会社ダイテックが提供する汎用2DCADが、ARCDRAWです。
ここでご紹介した他のCADとは違い、大手家電量販店でも簡単に購入できるというメリットが有ります。
【基本情報】
メーカー名 | 株式会社ダイテック |
用途 | 2D作図、図面作成 |
プラットフォーム | Windows |
ライセンス | インターネットによるライセンス認証 |
無償体験版 | 機能制限あり、90日間 |
価格 | パッケージ購入:66,000円(標準価格) 時間課金:110円/1時間 |
返金保証 | なし |
購入方法 | 大手家電量販店(パッケージ購入) または、ダイテックECサイトから購入(時間課金) |
操作習得方法 | 独学 |
何を基準に導入すればいいの?
2DCADを導入する際、何を基準にすれば良いのかを悩んでいる方のために、検討基準別におススメのCADをご紹介します。
ここでは、導入コスト・操作性・互換性の3点で比較しますので、順番にご覧ください。
導入コストを重視する
多くのCADは、ライセンス認証をしないと使えない様になっています。その為、必要台数分のライセンスを購入しなければなりません。
ということは、基本料金が出来るだけ低価格で済むものがおススメということになります。
1位 【JWW】
なんといっても、一番コストがかからないのが、JWWです。ネットからダウンロードするだけですぐに使えるという点もおススメです。
2位 【ARCDRAW】
1ライセンスにつき使用できるパソコンは1台と決まりがありますが、本体価格が10万円以下と低価格なのが魅力です。
また、CADの使用時間がそれほど多くないという方の場合は、「時間課金」という購入方法もあります。1ライセンスで複数台のパソコンにインストールが可能で、複数名で共有することも可能です。
但し、時間課金の場合、一度に使用できるパソコン台数は1台という制限もあります。
操作性・操作習得のし易さを重視する
折角導入しても、操作が出来なければ意味がありません。操作習得のためのサポートが有るかどうかという点も検討材料の1つと言えます。
1位 【AutoCADLT】
AutoCADLTを起動すると、スタート画面で「学習」という項目を選択できます。ここには、操作習得のための学習動画が準備されており、無料で視聴することが出来ます。
テキストではなく映像による操作解説ですので、理解がしやすいというメリットもあります。
また、Autodesk社では公式サイトにもマニュアル動画を公開していますので、忙しい時間の合間に学習が可能です。
2位 【DRA-CAD】
DRA-CADも、株式会社建築ピボットが定期的にスクールを開催し、操作習得に力を入れています。
しかしながら、Autodesk社の様に無料動画の配信がなく、操作習得にお金がかかるというデメリットもあります。
3位 【JWW】
市販のテキストが多く出版されているJWWなら、いつでも学習が可能です。
更に、ヘビーユーザーによる操作習得のヒントなどがネット上にあふれているため、独学の手助けにもなります。
取引先企業とのデータ互換を重視する
他社とのデータ互換も検討材料としては重要です。
折角CADを導入しても、取引先企業とデータ共有が出来なければ、作業効率の低下につながってしまいます。
1位 【AutoCADLT】
データ変換形式であるDXF形式のファイルを開発したAutoCADであれば、DXF形式のデータを扱うことが出来るCADとの互換性があります。
また、多くのCADでAutoCADのファイル形式であるDWGファイルをそのまま読み込むことも出来ますので、おススメです。
2位 【JWW】
JWWは、DXF形式に対応しているだけでなく、SXFデータにも対応しています。
その為、官公庁の仕事が多い方におススメです。
3位 【DRA-CAD】
AutoCAD、JWWどちらのデータにも対応できるという点では、ARCDRAWと同じなのですが、その他PDFデータにも対応できるというメリットもあり、おススメです。
DRA-CADでは、PDFデータや画像を読み込み、線画へ変換することが出来る機能も搭載。その為、手描き図面でもデータ化することが出来ます。
まとめ
この記事では、2DACDの導入を検討している方に、建築業界で多くの企業が導入している2DCADをご紹介し、比較しました。
2DCADを導入するには、様々な観点から検討をしなければいけません。
導入の手間やコストだけを考慮すると、他社とのデータ連携が出来なかったり、操作習得が難しかったりと、作業効率を下げてしまう可能性もあるのです。
また、取引先企業と同じものを導入しようとすると、コストがかかりすぎ、1台しか導入できなかったなんてこともあり得ます。
CADの導入は作業効率の向上が目的でもあるわけですから、それぞれのメリットデメリットを理解し、時間をかけて検討しましょう。