建設業界の中小企業は今後どうなる?抱える課題と働き方の変化

建設業は人材不足やコロナウイルス感染症の影響により、働き方の変化が求められています。

大企業は女性が働きやすいように環境を整えたり、人材不足を補うためにI T技術の導入で生産性を上げたりなど対策が行われています。

このような状況の中で中小企業も例外ではありません。

この記事では建設業の中小企業は今後一体どうなっていくのか、今後求められていく変化とは何か、をお伝えしていきます。

建設業界の現状と中小企業の今後

建設バブルと呼ばれるほど建設の需要が高い状況にありましたが、コロナウイルスによる影響でどう変わっていくか気になるところです。

建設市場は2020年現在も堅実に上がっていくことが見込まれており、その理由として老朽化したインフラの維持管理があります。

高度成長期に建設されたインフラは2019年度により老朽化対策として6,901億円を公共事業に投じています。

築年数も50年以上となるインフラは増えていくため長期的な建設需要が見込まれていると考えられています。

しかし、建設業の需要は堅実に上がってはいるものの、人材不足や労働環境の問題は残っています。

そこで、ここでは建設業の中小企業の現状と今後についてお伝えしていきたいと思います。

中小企業が懸念する人材不足と後継者問題

中小企業の問題としては人材不足が懸念されます。建設業の人材不足は深刻化しており、働き手の高齢化と若手の入職者の減少により今後労働者の確保は必須だと言える状況です。

また、中小企業には後継者の不足も懸念材料です。

帝国データバンクは「2017年後継者問題に関する企業の実態調査」により、後継者不在率が最も高かったのはサービス業の71.8%、それに続き建設業は71.2%と後継者不在率は7割を超えます。経営者の高齢化は建築業で大きな影響を与える要因とも言えるため、今後対策をしなければいけない状況にあります。

新型コロナウイルスによる経営への影響度

新型コロナウイルスが経営への影響に大いにあると感じている方は多数います。

この意識により今期の完工高も減少すると考えているが半数以上いて、新型コロナウイルスが経営に影響するということと、完工高予測は相関しています。

しかし、その一方で「変わらない」「増加する」と答える中小企業もあります。

この違いは地域特性や企業特性によるもの、または震災復興予算の減少など様々な要因が考えられます。

新型コロナウイルスの影響は長引くと予測している方もおり、先の読めない状態がしばらく続きそうです。

今後は新型コロナウイルスも影響して建設現場は変わる

新型コロナウイルス感染症の流行は建設業の働き方にも影響しています。

建設現場は密を生じやすい環境であり、経営者、労働者への不安感は否めません。

もし現場で感染者を出してしまえば、そこで働く従業員は濃厚接触者としてみなされ工事を中断しなければならなくなるリスクもあります。

受注高の減少や工事遅延は業績に反映されていくものの、コロナ対策を進行しながらも、事業活動を確実に進めていかなければなりません。

このような状況に対応していくためにも、これまでの働き方、工事の進め方を改善し、生産性を上げながらも環境に適した建設現場へと変化していくでしょう。

今後は建設業のテレワーク化が浸透していく

人材不足、働き方改革、コロナウイルスなど、建設業の労働環境は時代に伴って適していく必要があり、これからは業務のデジタル化、ITの利用は必要不可欠となるでしょう。

自粛期間で注目されたテレワークは実施が必要であり、建設業界も浸透しつつあります。

図面や工程表などのペーパーレス化、クラウド共有、ビデオ会議のコミュニケーションツールなどを活用し、テレワーク化を導入することで通勤時間や残業時間の減少といった効果も見られることから長時間労働になりやすい建設業の労働環境も整えられていくことが期待できます。

建設現場のi-constructionの導入により働き方が変わる

建設現場の今後は「i-construction」の導入により働き方も大きく変わっていきます。

国土交通省は建設業のICT化を取り組む「i-construction」を推進し、生産性の向上、賃金の水準の向上、死亡事故ゼロ、3K(きつい、危険、きたない)のイメージ改善を目的としています。

ITの情報処理技術に加えて、通信を利用したネットワークを活用するICT化は、測量での施工対象範囲を3次元に計測可能になり、測量したデータを基に設計データの作成もできるようになります。

また、ドローンを飛ばして広範囲、短時間で3次元データを取得することができます。

このように建設現場のICT化の活用により、時間と安全性、正確性など生産性向上につながる効果が期待されるため、労働人口の減少を、生産性を上げることで補い、経済成長を維持していこうと政府は考えています。

労働人口の減少は中小企業も深刻な問題となっています。

このICTの導入で建設業の働き方と経験が少ない若手や女性も就業しやすい業界にしていこうという流れになっていきますので、中小企業はその流れに対応していくことが必要でしょう。

まとめ

建設業の中小企業は人材不足やコロナウイルス感染症の影響も含め、時代に合わせて変化していくことが必須です。

労働人口が減っていく中、労働環境を整えて働き手を増やしていくことも大切ですが、少子高齢化もあることから、確実に働く人たちの人数は少なくなります。

こういった人口の減少をI T技術の活用により、生産性を上げて補う動きにもなっていますので、今までの仕事の仕方から変化して時流にあった働き方へと対応していくことが重要になるでしょう。