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【サグラダ・ファミリア】未完の傑作を支える建設技術とは【アントニ・ガウディ作】

サグラダ・ファミリアの画像

スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリアは建築家アントニ・ガウディが設計した未完作品で、2005年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。

生前のガウディが実現できたのは地下聖堂と生誕のファサードなど全体の1/4未満です。

内戦による工事の中断、図面の消失など様々な困難がありながら、現在の建設技術を取り入れて尚完成まで工事が進められています。

今回の記事はサグラダ・ファミリアの建設技術についてご紹介していきます。

サグラダ・ファミリアの設計者

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設計者はガウディというのが一般的ですが、当初の設計はフランシスコ・ビリャールという建築家が建設に携わっています。

民間カトリック団体「サン・ホセ教会」が贖罪教会として計画し、初代建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受けました。

1882年3月19日に着工しましたが、意見の対立から翌年にビリャールが辞退し、2代目としてアントニ・ガウディが引き継ぎました。

ガウディは以後40年の生涯をサグラダ・ファミリアの設計に費やし、現在は9代目設計責任者のジョウディ・ファウリが建設に携わります。

ガウディ没後100年にあたる2026年に完成予定を発表していましたが、2020年に大流行したコロナウイルス感染症により、2026年の完成は不可能と見られています。

サグラダ・ファミリア概要

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用途 教会
設計者 アントニ・ガウディ
建築主 フランシスコ・ビリャール
事業主体 サン・ホセ教会
管理運営 サン・ホセ教会
着工 1882年3月19日
竣工 未定
所在地 スペイン バルセロナ

未完の傑作と呼ばれている理由

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サグラダ・ファミリアの完成図はガウディの頭の中にあると言ってもよく、明確な設計図がないことからこれまで長い工期を費やしてきました。ガウディは図面を残すことよりも実験模型で表現することを好みました。

建設も構造解析を行い、模型を製作した後に施工を行っていたため手間の掛かる流れでした。残されていた図面もスペイン内戦で焼失し工事も中断するという困難な出来事も工事を長引かせた原因です。

ガウディ亡き後は、残ったガウディの公伝、スケッチ、実験模型を手掛かりにガウディの設計構想を推測するといった形で工事を進められましたが、これも時間と費用が掛かりました。

当時は300年もの工期を見込んでいましたが、現代の建築技術の進歩により、予定の半分程度の期間で完成する予定です。

サグラダ・ファミリアの建設技術と魅力

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サグラダ・ファミリアの建設は長い時間を費やしたことから様々な時代の混在が見られる建築物です。ここではサグラダ・ファミリアの建設技術と魅力をご紹介していきます。

ゴシック様式にアレンジが加えられたサグラダ・ファミリア独特の建築様式

サグラダ・ファミリアの建築様式は一般的にゴシック様式の部類に入りますが、アレンジが加えられ一言でゴシック様式とは言えない建物です。

ガウディが育ち学んだカタルーニャ独自の建築様式も取り入れられているとされていて、各所に施されている彫刻をメインに、放物線状な構造のアーチや鐘楼に据えられた自然主義と抽象主義を具現化した彫刻も多数あります。

サグラダ・ファミリアの外観は直線、直角、水平がほとんど見られず、ガウディの接した建築様式と思想が集大成した大胆な建築様式と言えます。

逆さ吊り実験による構造解析

サグラダ・ファミリアはワイヤーモデルによる「逆さ吊り実験」で部材の結節点座標を求める「3D構造解析」を行っています。

「逆さ吊り実験」とは、ワイヤーを構造体に見立てて、180°上下にひっくり返した模型を作り、柱の先にはその上にかかる荷重に相当する重りをぶら下げます。

こうすることによりワイヤーでできた建物には引っ張り力だけがかかる形で安定し、この形を元に戻すと柱などには曲げモーメントが発生せず、部材には圧縮力だけが作用するように設計することができます。

サグラダ・ファミリアはこのように構造解析をした後、模型を作り、それから現場での施工を行うという手間の掛かる工程で建設されました。

3DCAD・3Dプリンターで模型を作成・構造解析

現在は3Dプリンターにより模型が作られています。当時のように手作りや逆さ吊り実験によって構造計算していたのが、最近では3DCADのコンピューターによる構造解析に置き換わりました。

300年の工期を短縮できた理由は、現在の技術によるものが大きく、3DCADや3Dプリンターの導入により設計や模型の製作が早まり、工期の短縮にも貢献しています。

3DモデルからCNC加工機によって石材を切削

複雑な曲面で構成する石柱の加工も柱の3DモデルからCNC加工機によって石材を切削しています。

3Dデザインソフトで部材の原型を作り、回転体と思われる立体を原型部材に掘り込むように配置して回転体の立体が重なる部分を削ります。

そのデーターをCNC石材加工機でカッターの動きをプログラミングし、石材を切削することで複雑な曲面の石柱を作っています。

時代の流れにより石積構造から鉄筋コンクリート構造へ変遷

サグラダ・ファミリアの当初は石積構造でしたが、現在は鉄筋コンクリート構造も取り入れられています。

建設当初の構造がありながらも時代の流れとともに新たな技術と材料が取り入れられ、時代の変遷が混然一体となって現れているのも前例のない建築物と言えます。

聖堂が聖書を表現する装飾

サグラダ・ファミリアの聖書を表す様々な彫刻も見どころの一つです。聖書の物語を表現するファサード「生誕の門」「受難の門」「栄光の門」はガウディ生前にほぼ完成の形となった唯一のファサードで、建設には41年の歳月が費やされました。

入り口である「慈愛の門の扉」は日本人彫刻家の外尾悦郎氏の作品です。

その他にも「福音の扉」「イエスの像」「天使の聖歌隊」などの聖書を物語る彫刻が施されています。

光と曲線がつくる内観

教会内部は上から光が差し込むように設計されています。中は森の中にいるようで外観とはまた違った印象を受けるでしょう。

高い天井は殉教のシンボルであるシュロの木を模しており、天井に埋め込まれた採光機はガウディ考案のものです。

ガウディは光の入り方にこだわる建築家であり、太陽の光が入り込むステンドグラスは空間をいっそう引き立てています。

まとめ

当時は完成まで300年と言われていたサグラダ・ファミリアは、長い工期を費やしながら、様々な歴史が混在して建設され、現在は3DCAD・3Dプリンター、コンピューターによる構造解析など最新技術を取り入れることで工期はグッと縮まりました。

コロナウイルス感染症の混乱はありながらも、サグラダ・ファミリアの完成はもう間近までやってきています。未完の傑作と言われるサグラダ・ファミリアの魅力を実際に目にするのは貴重な体験ですので、ぜひ現物を見ていただいて欲しい建物です。

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