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小規模事業者持続化補助金とは、どのような補助金なのか?

「小規模事業者持続化補助金」は、事業主が事業を継続する中で、新たな販路を拡大するために必要なPR活動や、新商品の開発、作業効率向上のためのシステム導入や、機器導入などを行う際に係る経費について、補助を行うというものです。
ここでは、どのような事業主がどのような事業を行えば、補助金を受けることが出来るのかといったことについて、説明をしていきます。

小規模事業者持続化補助金の目的と対象

先ずは、この「小規模事業者持続化補助金」の目的と受給対象となる事業者についてご説明します。

何のための補助金で、誰が実施しているのか?

「小規模事業者持続化補助金」は、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に基づいて行われる支援事業の1つで、2020年度の事業は、令和元年度補正予算「小規模事業者持続的発展支援事業費補助金」を使っています。
実施しているのは、「独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以降、中小機構)」ですが、実際には
「商工会」及び「商工会議所」が実際には公募・採択・支援を行っています。
そして、この補助金の目的は、簡単に言えば「小規模事業者の支援」です。
小規模事業者と一定の要件を満たす「特定非営利活動法人」が、「被用者保険の拡大」「賃上げ」などの制度変更に対応するために、販路の拡大を図ったり、生産性向上のための設備投資をしたりといったことに対し、それら事業に係る経費の一部を補助することで、地域の雇用・産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることが目的です。

誰が対象なのか?

では、補助の対象となっている「小規模事業者」や「一定の要件を満たす特定非営利活動法人」とは、どのような事業者なのでしょうか?
この補助金の対象者は、以下の5つの要件をいずれも満たす日本国内にある小規模事業者等であることが条件となります。

1.小規模事業者であること
小規模事業主とは、以下の表にある業種別の従業員数で判断します。

ただし、この従業員数に当てはまったとしても、補助金の対象とならない事業者等もあります。
【補助対象となる事業者等】
・会社及び会社に準ずる営利法人
・株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合、協業組合
・個人事業主(商工業者であること)
・一定の要件(以下2点)を満たした特定非営利活動法人
・法人税上の収益事業を行っていること
・認定特定非営利活動法人でないこと
・【補助対象とならない事業者等】
・医師、歯科医師、助産師
・系統出荷による収入のみである個人農業者、個人林業、個人水産業
・協同組合等の組合(企業組合・協業組合は除く)
・一般社団法人、公益社団法人
・一般財団法人、公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者
・任意団体
また、「常時使用する従業員」に、以下の方は含みません。
・会社役員
・従業員と兼務役員の場合には、「常時使用する従業員」に含みます
・個人事業主本人及び、同居の親族従業員
・申請時点で育児休業中、介護休業中、傷病休業中、求職中の社員
・以下のいずれかに条件に該当するパートタイム労働者
日々雇い入れられるもの(日雇)
2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の従業員」の所定労働時間に比べて短い者

2.商工会議所または、商工会の管轄地域内で事業を営んでいること
申請書類は、「商工会議所」「商工会」どちらかに提出をします。
その為、それぞれの管轄地域内で事業を営んでいる事業者が対象となります。また、商工会議所、商工会どちらかの会員である必要はありません。

3.この補助金事業への応募の前提として、持続的な経営に向けた経営計画を策定していること
経営計画書は、申請書類に添付する必要があります。また、この計画内容によっては、補助金受給の採択で落選する可能性があります。

4.この「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」において、受付締め切り日の前10ヶ月以内に、選考する受付締め切りで採択・交付を受けて、補助事業を実施したものでないこと
既に、この「小規模事業者持続化補助金」で補助金を受けている方は、共同申請の参加事業者も含み、受給資格はありません。

5.「反社会勢力排除に関する制約事項」に記載されている、いずれにも該当しないこと。かつ、今後、補助事業の実施期間内・補助事業完了後も、該当しないこと
暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関連企業、総会屋など、反社会勢力に関連する企業や関連する人物がいないということが、条件となります。
当然、申請時にはこの「反社会勢力排除に関する制約事項」に制約していただくことになります。

更に、令和2年度の公募に際し、以下の事業者にも重点的な支援を行うこととしています。

1.新型コロナウイルス感染症による経営上の影響を受けながらも、販路開拓等に取り組む事業者
2.賃上げの計画を有し、従業員に表明している事業者
3.代表者が満60歳以上の事業者であって、かつ、後継者候補が中心となって補助事業を実施する事業者
4.生産性の向上の取組を行っている事業者
5.地域未来牽引企業または、地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者
6.過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓に取り組む事業者
7.この6項目については、通常の補助事業にプラスして必要書類を揃えて希望を出せば、補助額の上限を引き上げてもらえます。

この6項目については、通常の補助事業にプラスして必要書類を揃えて希望を出せば、補助額の上限を引き上げてもらえます。

補助の対象となる事業とは?

次に、補助の対象となる事業についてご説明します。
補助の対象となる事業は、「以下の要件をいずれも満たす事業であること」としています。

【要件】
1.策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等(生産性向上)のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組と合わせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること

2.商工会、若しくは、商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

3.対象外となる事業以外であること

1番と3番については、この後順次ご説明します。

生産性向上のための取組とは?

先ず、【要件】の1番についてご説明します。要件の中に「生産性向上」というキーワードが入ります。以下に説明する、販路開拓等の取組や業務効率化の取組も、「生産性向上」とならなければ、採択の対象となりません。
では、「生産性向上」はどんなことをすればいいのでしょうか?

詳細については「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」をご参照ください。

1.ここでは、かいつまんでご紹介します。

・中小サービス業の現状と課題
(ア)中小サービス業が直面している問題

①売り上げを出しても会社の利益が一向に上がらない
②労働時間が長く忙しいが賃金を上げられないため、良い従業員が集まらない
③折角人材を採用しても定着しない

(イ)目指すべき生産性の向上とは

①「誰に」を考える
②「何を」を考える
③「どのように」を考える

(ウ)自社の現状を分析する
(エ)見直しとブラッシュアップ(PDCAサイクルを活用)

ガイドラインには、具体例も掲載されていますので、是非、参考にしてください。

地道な販路開拓等の取組

【販路開拓の範囲】
・日本国内
・海外
・個人消費者
・企業
【取組事例】
・新商品を陳列する棚の購入
・新たな販促用チラシの作成・送付
・新たな販促用のPR
・マスコミ媒体での広告
・ウェブサイトでの広告
・新たな販促品の調達・配布
・ネット販売システムの構築
・国内外の展示会
・見本市への出展
・商談会への参加
・新商品の開発
・新商品開発にあたっての必要な図書の購入
・新たな販促用チラシのポスティング
・国内外での商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
・新商品開発に伴う成分分析の依頼
・店舗改装
  小売店の陳列レイアウト改良
  飲食店の店舗改修
「店舗改装」の中には、支給の対象とならない改装もありますので、「募集要項」をしっかりと確認しましょう。また、不動産の購入・取得も支給対象となりません。

業務効率化の取組

「業務効率化」には、2種類の取組があります。

【「サービス提供等のプロセスの改善」の取組事例】
業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減
従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
【「IT利活用」の取組事例】

・新たに倉庫管理システムのソフトウェアを導入し、配送業務を効率化する
・新たに労務管理システムのソフトウェアを導入し、人事・給与管理業務を効率化する
・新たにPOSレジソフトウェアを導入し、売上管理業務を効率化する
・新たに経理・会計ソフトウェアを導入し、決算業務を効率化する
・これら「取組事例」は一部です。自身の事業にあった取り組みを実施しましょう。

対象とならない事業とは?

上記の様に、様々な取り組みを行ったとしても、以下の様な事業は対象となりません。
・同じ内容の事業で、既に国の助成金などを受給している。または、助成金を受ける予定
・本事業の完了後、概ね1年以内に売り上げにつながる見込みがない事業
・事業内容が射幸心をそそる恐れがある
・公序良俗を害する恐れがある
・公的な支援を行うことが適当でないと認められる
この「小規模事業者持続化補助金」では、厚生労働省などで行っている助成金事業と重複して補助金を受給することが出来いません。その為、既に助成金等を受給している事業や、受給する予定の事業以外の取組を行ってください。

複数事業者と共同申請が出来る事業とは?

1つの事業者では難しいことでも、複数の事業者で共同して販路開拓事業などを行えることもあります。そこで、複数の事業者が共同して申請することも可能です。
ただし、連携するすべての小規模事業者等が関与する事業でなければなりません。

補助の対象となる経費と補助額は?


次に、補助の対象となる経費と補助金の額についてご説明します。

対象となる経費とは?

補助の対象となる経費は、次の3つの条件をすべて満たすものとなります。
1.使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
2.交付決定日以降に発生し、対象期間中に支払いが完了した経費
3.証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

これら経費について、例えば対象事業を実施する期間中に、機器やソフトウェアを購入し、代金を支払ったとしても、実際にこの新しく導入した機器などを使用して、事業に取り組んでいない場合には、支払い対象経費にはなりません。
また、経費の支払い方法についても決まりがあります。
補助対象経費の支払いは、銀行振り込みが大原則となっています。特に、10万円超の支払は、現金支払いは認められていません。
クレジットカードでも支払いも、引落日が対象事業の期間中のみ認められます。
その他にも、細かい決まりがありますので、必ず「募集要項」を隅々まで確認しましょう。

補助額・補助率は?

【補助率】
補助対象経費の2 / 3 以内
【補助上限額】
50万円

ただし、以下の場合は上限額が変わります。
1.「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者
(ア)100万円」
複数の小規模事業者等が連携して取り組む共同事業の場合

2.複数の小規模事業者等が連携して取り組む共同事業の場合

(ア)1事業者当たりの補助上限額 × 連携小規模事業者等の数
(イ)500万円

申請書類と申請方法

「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般化>」の公募要領は、2020年3月10日(火)に、既に公開されています。
そして、2020年3月13日(金)に申請受付を開始しました。

申し込みの締め切りは?

応募締め切りは、公表されているのが4回分で、以下の通りです。
第1回受付締切:2020年3月31日(火)
第2回受付締切:2020年6月5日(金)
第3回受付締切:2020年10月2日(金)
第4回受付締切:2021年2月5日(金)

申請書類の提出は、基本郵送で提出します。その為、書類の提出期限は、「締切日当日消印有効」となります。
また、第5回受付締切以降については、今後改めて案内が出ますので、商工会・商工会議所のHPなどを確認しましょう。

申請から補助金受給までの流れは?

「小規模事業者持続化補助金」は、申請書類のほかに「経営計画」と「補助事業計画書」の提出も必要となります。また、商工会・商工会議所に、「事業支援計画書」の作成も依頼する必要があります。
そこで、先ずは申請の流れを把握しておきましょう。

【単独申請の場合】
1.「小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書」(様式1-1)・・・原本1部
2.「経営計画書兼補助事業計画書①」(様式2-1)・・・原本1部
3.「補助事業計画書②」(様式3-1)・・・原本1部
4.「事業支援計画書」(様式4)・・・原本1部
(ア)事前に地域の商工会議所、または商工会に作成してもらいます
5.「補助金交付申請書」(様式5)・・・原本1部
6.電子媒体・・・1つ
CD-R、USBメモリ 等
(ア)上記1~5の書類データを全て入れること
(イ)様式ごとにファイルを分けて保存
(ウ)電子データは押印前のものでもOK
(エ)採択審査は、この電子データを元に実施

【共同申請の場合】
1.「小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書」(様式1-2)・・・原本1部
(ア)別紙「複数事業者による共同申請 / 共同申請者一覧」添付のこと(必須)
2.「経営計画書」(様式2-2)・・・原本1部
(ア)共同申請に係る企業すべてが、それぞれに作成
3.「補助事業計画書」(様式3-2)・・・原本1部
(ア)申請グループ全体で1つの計画書
4.「事業支援計画書」(様式4)
5.「補助金交付申請書」(様式5)・・・原本1部
6.電子媒体・・・1つ
(ア)上記「単独申請」を参照

【その他の添付書類】
その他の添付書類は、法人、個人事業主、特定非営利活動法人で違いがあります。

<法人の場合>
1.貸借対照表および損益計算書・・・写し1部
(ア)ない場合は、確定申告書の表紙(受付印のある用紙)と別表4(所得の簡易計算)を提出

<個人事業主の場合>
1.直近の確定申告・・・写し1部
(ア)第1表、第2表、収支内訳、または食税青色申告決算書、または開業届

<特定非営利活動法人の場合>
1.貸借対照表および活動報告書・・・写し1部
2.現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書・・・原本1部
3.法人税確定申告書・・・写し1部

(ア)表紙、および別表4

この他、採択審査時に以下の加点を希望する場合には、別途提出書類が必要となります。

1.新型コロナウイルス感染症加点
2.賃上げ加点
3.経営力向上計画加点
4.事業承継加点
5.地域未来牽引企業等加点
また、以下の事業者も、別途提出必須書類があります。

1.過去3年間の全国版「小規模事業者持続化補助金」の公募で採択を受け、補助事業を実施した事業者
2.「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援を受けた小規模事業者」として補助上限額の引き上げを希望する事業者

採択審査と採択率

採択の審査は、郵送された電子媒体を使って行われます。その為、郵送時に申請書類のデータファイル一式が保存されたCD-RやUSBメモリを入れ忘れると、採択審査の対象外となってしまいます。
採択審査は、基礎審査と加点審査があり、基礎審査は「要件を満たしているか」や「書類がそろっているか」といった基本的な部分のみを審査します。
重要なのは加点審査で、提出した「経営計画書」「補助事業計画書」の内容について審査をします。評価の観点としては、その事業の有効性や適切性、妥当性です。
無理な計画を立てず、実行可能であることが重要です。
因みに採択率は、平成31年度(令和元年度)の事業で平均90%ほどでした。この、「平均」というのは、商工会議所と商工会それぞれが公募し、採択審査を実施しているため、提出先によってその採択率に違いがあるためです。
ただし、採択率が高いからと言って安易に応募すると、応募者が殺到し、結果として採択率が下がる可能性があります。あくまでも、補正予算内で行われる事業ですので、その予算以上の補助は行われません。

まとめ

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で、経営が難しくなっている小規模事業主も増えています。建築業界でも、中国からの建築資材の輸入がストップしたことで、工事を途中で止めなければならなかったり、着工を延期したりと、かなり影響を受けているようです。
今回ご紹介した「小規模事業者持続化補助金」は、そんな経営に行き詰っている事業者を支援するための補助金です。
新たな販路開拓や新商品開発など、経営持続のために必要な投資に対して補助してもらえます。
これまで新築住宅の身を受けていた企業なら、古民家再生に力を入れてみたり、リノベーション物件を販売する不動産業に方向転換したりといった、生き残り戦略のために是非、活用してみてはいかがでしょうか?

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