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外国人建設就業者受入事業について

建設現場での労働環境は、3K(きつい、きたない、危険)と言われ、若者が建設現場で働くことを避けるようになり、他産業に較べて高齢化が進行しています。

その結果、建設現場では人手が不足してしまい、日本人だけでは足らず外国人労働者にも頼るようになりまし た。

今後、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック大会の施設の建設需要が見込まれ、さらなる人手不足が予測されています。この人手不足に対応し、外国労働者の活用を促進するため、政府は「外国人建設就労者受入事業」を開始しています。

この記事では、外国人建設就業者受入事業の概要と、入国から実習までの流れをご説明します。

外国人建設就業者受入事業の概要

国土交通省

「外国人建設就労者受入れ事業」とは、技能実習を満了した外国人が最大3年間、日本国内の建設現場で仕事ができる、オリンピック終了までの期限付きの制度です。

2020年に開催される東京オリンピック・パラリン ピックの施設を建設するのに建設労働者が不足することから、国が2015年から開始しました。

外国人建設就労者として認められると、2年間建設現場で働けます。帰国して1年以上経ったあと再入国すると、さらに3年間働けます。

外国人建設就労者の所定内賃金合計(月額)の平均額は約22万円となっており、技能実習生よりも高い賃金となっています。

外国人建設就労者受け入れ事業の流れをまとめると、次のようになります

  • 国土交通省と法務省入国管理局が管轄する
  • 建設就労者として、特定活動ビザを取得して入国する
  • 建設業に関する技能実習を満了した者がなれる
  • 技能実習生と異なり、即戦力人材として雇用される
  • 東京オリンピック開催に向けての措置であるため、制度自体に期限がある

外国人建設就労者が行うことができる職種・作業については、このサイトを参照してください。

このように国は外国人建設労働者を受け入れて労働者の確保をしていましたが、ふたを開けてみるとオリンピック後も人手が全然足りていないことがわかりました。そのため、受入事業の見直しをすることになりました。

外国人建設就業者受入事業の見直し

国土交通省

国は外国人建設就業者の期間と内容について見直しています。

始めはオリンピックが終了直後の2020年度末を就労可能期限としてましたが、2年延長とし、2022年度末(2023年3月末)までに延長しました。

また、運用について次の項目を追加しました。

  • 外国人建設就労者に対し、日本人と同等以上の報酬を、安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給すること
  • 外国人建設就労者に対し、雇用契約締結前に、重要事項を書面にて母国語で説明していること
  • 外国人建設就労者を建設キャリアアップ システムに登録すること

建設業は構造的に人材不足が続くので、今後も延長が繰り返し行われていく可能性があります。

このように人手不足を解消するために外国人建設就業者受入事業を見なおししているわけですが、そもそも外国人建設就労者となるためには、外国人技能実習期間を満了していなければいけません。ですので、事項で技能実習制度について概要を説明します。

外国人技能実習制度の概要

国土交通省

技能実習制度は、国際協力が目的で1993年に創設されました。日本企業の技能、技術、知識を開発途上地域へ移転し、開発途上地域の「人づくり」に寄与するという理念です。

具体的には、外国の技能実習生が、企業の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能を修得し、帰国して技能を活用することです。

日本の建設業で働く外国人は技能実習生が最も多く、2018年には4.6万人になります。現在も技能実習生は増加傾向です。

技能実習生の実習期間は基本的に3年間で、優良認定を得た場合はさらに2年間期間を延長できます。

技能実習生の特徴をまとめると次のような内容です。

  • 技能実習生は、技能実習ビザを取得して入国する
  • 技能実習生は、入国後、資格を上げるために技能試験を受ける必要がある
  • 技能実習生は、労働者ではない
  • 技能実習生を管轄するのは厚生労働省と法務省(入国管理局)

技能実習生の受け入れ方式

技能実習生を受け入れる方式には2つのタイプがあります。、団体監理型と企業単独型との2つのタイプがあります。
2018年ではほとんどの受け入れは団体監理型です(全体の97.2%)。

団体監理型

事業協同組合や商工会などの営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、企業(実習実施者)が技能実習を実施する方式です。監理団体は外国人技能実習機構から監理団体の許可を受ける必要があります。

企業単独型

企業(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。

技能実習の区分と在留資格

技能実習の区分は、団体監理型と企業単独型との受入れ方式ごとに

  • 入国1年目の技能などを修得する活動(第1号技能実習)
  • 入国2、3年目の技能などに習熟するための活動(第2号技能実習)
  • 入国4、5年目の技能などに熟達する活動(第3号技能実習)

の3つに分けられます。

技能実習の区分に応じた在留資格とそれぞれに移行する時の注意点は次のようになります。

団体監理型の在留資格

入国1年目 第1号団体監理型技能実習 在留資格「技能実習第1号ロ」
入国2、3年目 第2号団体監理型技能実習 在留資格「技能実習第2号ロ」
入国4、5年目 第3号団体監理型技能実習 在留資格「技能実習第3号ロ」

企業単独型の在留資格

入国1年目 第1号企業単独型技能実習 在留資格「技能実習第1号イ」
入国2、3年目 第2号企業単独型技能実習 在留資格「技能実習第2号イ」
入国4、5年目 第3号企業単独型技能実習 在留資格「技能実習第3号イ」

技能実習移行に関する注意点

  • 第1号技能実習から第2号技能実習へ移行するには、学科と実技の技能評価試験の合格が必要
  • 第2号技能実習から第3号技能実習へ移行するには、実技の技能評価試験の合格が必要
  • 建設関係の第2、3号の技能実習に移行が可能な職種・作業(移行対象職種・作業)は22職種33作業 移 行対象職種・作業(厚生労働省HP)
  • 第3号技能実習を実施できるのは、定められた基準に適合していると認められた、優良な監理団体・実習実施者に限定されます。

入国から実習までの流れ

国土交通省

ここでは、外国人労働者を受け入れから帰国までの流れについて説明します。流れには大きく6種類あります。

  1. 監理団体の許可を受ける
  2. 現地で面接をして人材を確定
  3. 入国準備
  4. 技能実習生の現地講習
  5. 入国後の集合講習
  6. 実習期間

順番に説明していきましょう。

監理団体の許可を受ける

監理事業をしようとする団体は、初団体へ申請して大臣許可を受ける必要があります。具体的には、外国人技能実習機構へ監理団体の許可を申請し、法務と厚生労働大臣の許可を受けることが必要です。

監理団体の許可には、特定監理事業と一般監理事業の2種類あります。特定監理事業の許可を受ければ第2号まで、一般監理事業の許可を受ければ第3号までの技能実習の監理事業をすることが可能です。

実習を実施する企業は、建設業許可を得ていなければいけません。

申請書類が認められると外国人就労者の受け入れが可能です。

現地で面接をして人材を確定

実習実施企業は、技能実習生候補者がいる現地で面接をします。実施企業側だけでなく、相手も納得した上で人材を決定することが必要です。

現地での面接までの段取りや準備は、特定監理団体と現地送り出し機関がバックアップをしてくれます。現地面接で希望の人材を採用し、企業はようやく実習生と受入契約の締結が可能です。

入国準備

入国準備では、技能実習計画書の申請・在留資格認定およびビザの申請をします。

実習実施企業が「技能実習計画書」を作成し、外国人技能実習機構へ申請しなければいけません。

計画が認定されれば、入国管理局への在留資格認定申請、ビザの申請などを続けて行います。

技能実習生の現地講習

技能実習生は採用後、自分たちの国で講習を受講します。

特定監理団体と実習実施企業で、入国準備の書類を作成している間、技能実習生は自分たちの国の学校で、日本語と日本の生活習慣などについての基礎知識を身につけるのです。

入国後の集合講習

入国後、技能実習生は日本の学校で集合講習を受けます。講習の内容は、実習現場で必要となるコミュニケーションや実習内容についてです。集中的に1か月間の講習を受けます。

集合講習を受けてることで、日本の環境で生活しながら語学や日本独自の生活習慣を改めて学びます。この1ヶ月間で技能実習生は、日本で暮らしていく中でトラブルに巻き込まれないために、様々な知識を身につけます。

実習期間

集合講習の後、技能実習生はついに実習です。技能実習生は、実習実施企業で「技能実習1号」として実習を開始します。 実施企業と特定監理団体は、実習期間中に技能実習生が「技能検定試験」に合格できるように指導します。

実習が上手くいけば滞在期間が延長、うまくいかなければ帰国しなければなりません。

第3号技能実習をするためには

団体監理型で第3号技能実習をする場合は、監理団体と実習実施者が共に「優良」である必要があります。つまり、会社と監理者が優良でないといけません。

実習実施企業が第3号技能実習をするには、外国人技能実習機構への技能実習計画の認定申請の際に「優良要件適合申告書(実習実施者)」を提出し、外国人技能実習機構から優良認定を受ける必要です。

これは、会社の実習生に教える仕組みが優秀だという認定を受けるという意味です。

また、監理団体についても第3号技能実習を監理するには、外国人技能実習機構への許可申請の際に「優良要件適合申告書(監理団体)」を提出し、主務大臣から「一般監理事業」の大臣許可を受ける必要があります。

これは、監理者が優良か許可を受けるということですので、実習実施企業は優良な監理者に付かないと第3号技能実習ができません。

ちなみに、「優良要件適合申告書」における合計得点が6割以上であれば、優良な実習実施者・監理団体の基準に適合することになります。

「優良」な実習実施者になるためには?

では、優良な実習実施者になるためにはどうすればよいかというと、優良要件適合申告書で6割以上の点数(120点満点で72点以上)を取る必要があります。評価は次の6項目です。

技能等の修得等に係る実績
(最大70点)
・過去3年間の基礎級、3級、2級程度の技能検定等の合格率など
技能実習を⾏わせる体制
(最大10点)
・直近過去3年以内の技能実習指導員、⽣活指導員の講習受講歴
技能実習⽣の待遇
(10点)
・第1号実習⽣の賃⾦と最低賃⾦の⽐較
・技能実習の各段階の賃⾦の昇給率
法令違反・問題の発⽣状況
(5点(違反等あれば⼤幅減点))
・直近過去3年以内の改善命令の実績、失踪の割合
・直近過去3年以内に実習実施者に責めのある失踪の有無
相談・⽀援体制
(15点)
・⺟国語で相談できる相談員の確保
・他の機関で実習継続が困難となった実習⽣の受⼊実績など
地域社会との共⽣
(10点)
・実習⽣に対する⽇本語学習の⽀援
・地域社会との交流を⾏う機会・⽇本⽂化を学ぶ機会の提案

項目数は多いですが、これをクリアすれば技能実習の期間が2年延び、外国人建設就業者になれるのでメリットは大きいでしょう。

まとめ

この記事では、外国人建設就業者受入事業の概要と、入国から実習までの流れを説明しました。

外国人建設就労者事業は、東京オリンピック・パラリンピックの建設需要に対応するための期限付き制度で、就業者は2~3年継続して働けます。

建設労働者の不足は社会の少子高齢化に伴う構造的な問題なので、国はオリンピック後も外国人労働者を増加させるでしょう。

この記事を参考に、外国人建設就業者を効果的に利用してください。

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