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事業主がトライアル雇用助成金を受給する方法と受給金額

企業経営に欠かせない人的資源である従業員ですが、その反面一定したコストが必要になる事は避けることが出来ません。

また、雇用した従業員が本当に会社に合う人材かどうかを見極めるのは、実際に雇ってみないとわからない事もあり、事業主側からみたコストも悩みの種と言えるのではないでしょうか。

この様な企業と従業員とのミスマッチを避けるために設けられたのがトライアル雇用助成金であり、費用の削減ばかりでなく、本当に必要な人材を確保より確実にしてくれる制度となっています。

トライアル雇用助成金とは

トライアル雇用助成金とは、2003年より厚生労働省とハローワークが主体となって、企業と求職者間に生じる雇用ミスマッチを避けるために設けられた支援策です。

若者雇用促進法に基づいて、認定事業主が一定(最長3か月間)の試用期間を設けて35歳未満の求職者を雇入れることによって助成金が支給されます。

技能・知識不足になりがちな若年求職者を中心とした制度ですが、事業主と求職者との相互理解を促進する制度でもあるので、事業主から見てもトライアル雇用助成金には大きなメリットがあると言えます。

事業主から見るトライアル雇用助成金を利用した際のメリット・デメリット

では、事業主から見るトライアル雇用助成金を利用した際のメリットとはどの様なものがあるのでしょうか。
また、利用する際のデメリットも併せて解説していきたいと思います。

メリット

事業主がトライアル雇用助成金を利用するメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 事業主と求職者との雇用ミスマッチを防ぐ
  2. 採用コストの低減

①事業主と求職者との雇用ミスマッチを防ぐ

事業主が求職者の採用を行う場合、履歴書や職務経歴書等を確認し面接を経て雇入れの判断を行うことでしょう。

しかし、実際に面接を行ったとしても、求職者が本当に自社の職務に適性があるのかの見極めは難しく、実際に雇ってみないと分からないというのが実情です。

しかし、トライアル雇用助成金を利用すれば、トライアル雇用期間内で求職者の見極めが出来るので、適性が無いと判断される場合は、採用を見送る事が可能になり、事業主・求職者双方でミスマッチを防ぐ事が出来るようになります。

②採用コストの低減

トライアル雇用助成金を利用して求職者を雇い入れると、期間中に対象者1人あたり最大で12万円(月額4万円×3ヶ月)の助成金が支給されます。

実際に支給されるのは、トライアル雇用期間終了後ですが、そのまま人件費に充てることが可能になるので、採用コストの削減にも繋がり、人材確保の際の人件費を節約する事が可能です。

デメリット

事業主がトライアル雇用助成金を利用するデメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 現場の負担は避けられない
  2. 務内容によっては助成金の効果が薄い
  3. 受給までのスケジュール管理が必要

①現場の負担は避けられない

トライアル雇用助成金は、企業側に35歳未満の経験や知識の無い求職者を雇入れることを促進するために設けられている助成金制度です。

トライアル雇用できる方は、中途採用のような社会経験を一定程度積んだ求職者ではないので、ほぼ新卒採用者の様な教育が求められる事が多くなります。

そのため、現場の負担は避けられず、担当者の負担が大きくなることが考えられます。

②職務内容によっては助成金の効果が薄い

トライアル雇用助成金によって雇い入れる求職者は、即戦力としての能力はほぼほぼ望むことは出来ません。

採用にあたっては、長期的な時間・資金を掛けて教育する事が必要になり、新卒採用者と同程度のコストが生じるのです。

そのため、職務内容によっては、支給された助成金の効果が薄い事も考えられます。

③受給までのスケジュール管理が必要

事業主側がトライアル雇用助成金を利用して実際に支給されるまでには、ハローワークとの間で以下の様な手続きが必要です。

  • 採用計画の策定
  • 申請書類の作成と提出

これらに不備があると、トライアル雇用助成金が不支給となってしまうので、各種手続きと日程を確認し、スケジュール管理を計画的に行うことが求められます。

トライアル雇用助成金を受給するための事業主の要件

トライアル雇用助成金は、若者雇用促進法に基づいて制定された助成制度なので、事業主受給するには厚生労働大臣が認定する「認定事業主」でなければなりません。

受給資格のある事業主及び受給資格のない事業主は以下の通りになっています。

受給資格のある事業主

トライアル雇用助成金の受給資格のある事業主は、以下の通りです。

  1. ①事業主が雇用保険適用事業所であること
  2. ②トライアル雇用助成金の申請期間に申請を済ませること
  3. ③支給の際のハローワーク等の調査に協力する

この内、『③支給の際のハローワーク等の調査に協力する』に関しては、トライアル雇用助成金の受給のするか否かの審査の際に、ハローワークまたは労働局等の要請があった場合、整備・保管していた必要書類を提出したり、実地調査に応じることとなっています。

受給資格のない事業主

トライアル雇用助成金の受給資格のない事業主は、以下の通りです。

  1. 過去3年間に不正受給を行った事業主、または支給の審査の際に不正受給が発覚した事業主
  2. 労働保険料を納めなかった過去がある事業主
  3. 過去1年間に労働関係法令違反がる事業主
  4. 性風俗関やいわゆる水商売の営業の一部を受託していた事業主
  5. 事業主または役員等が暴力団との関わりがある場合
  6. 事業主または役員等が、破防法(4条)で規定する破壊活動を行った、行う可能性の団体に所属している場合
  7. 支給申請時または支給決定時に倒産している場合
  8. 不正受給発覚の際に管轄労働局等が実施する事業主名等の公表に同意していない場合

トライアル雇用助成金は4タイプ

トライアル雇用助成金には、以下の4タイプがあります。

  • 一般トライアルコース
  • 障害者トライアルコース
  • 障害者短時間トライアルコース
  • 若年・女性建設労働者トライアルコース

下記で紹介する『一般トライアルコース』や『障害者トライアルコース』などが一般的ですが、建設業などでは『若年・女性建設労働者トライアルコース』と言ったものも用意されています。

一般トライアルコース

職業経験不足等で安定して就職できない求職者を対象としたトライアルコースです。

ハローワーク等(地方運輸局、職業紹介事業者含む)から紹介され、一定期間試行雇用すると雇い入れた事業主に助成金が支給されます。

障害者トライアルコース

就職が困難な障害者を対象としたトライアルコースです。一般トライアルコース同様に、ハローワーク等から紹介され、一定期間試行雇用後に事業主に助成金が支給されます。

障害者短時間トライアルコース


障害者トライアルコースと同様に、一定期間試行雇用後に事業主に助成金が支給されますが、障害者の適応状況や体調を考慮し、雇用時間を以下の様に調節するようになっています。

  • 週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とする
  • 同期間中に20時間以上を目指す

若年・女性建設労働者トライアルコース


35歳未満の若年者及び女性を対象としたトライアルコースで、職業技能が求められる建設業での雇用を促進するためのものです。

一定期間試行雇用することで助成金が受給されますが、一般トライアルコースに上乗せして支給されるので、最高で月額計8万円(4万円+4万円)が事業主に支給されます。

トライアル雇用助成金申請までの流れ


トライアル雇用助成金申請(一般トライアルコース)までの流れは、以下の通りです。

なお、実施計画書等面倒な手続きがあるので、滞りなく支給まで運びたいのであれば、社会保険労務士に相談すると良いでしょう。

①トライアル雇用求人の提出及び面接


まずは、ハローワークにトライアル雇用求人を提出し、求職者の応募を待ちます。

その後、求職者の希望があれば面接を行いますが、原則として履歴書等の書類選考は行わず、面接により試行雇用を決定するようになっています。

②試行雇用と必要書類の提出


トライアル雇用への採用が決まれば、求職者との雇用契約を結びます。

この時、トライアル雇用の開始日から2週間以内にハローワークに以下の必要書類を提出するようになっています。

  • 支給対象者の同意、署名がある雇用実施計画書
  • 労働条件が確認できる書類

③原則3ヵ月のトライアル雇用開始


実際にトライアル雇用が開始され、職業適性や人格を判定していきます。

期間中は必要な指導を適時行い、原則3ヵ月のトライアル雇用期間を待って判断を行いますが、期間終了後適性が認められないと判断した場合は、対象者へその旨を説明する事が求められます。

※ただし、対象者との合意があれば3ヶ月以下でのトライアル終了も可能

④必要書類の提出と支給の可否判定


トライアル雇用終了から2ヶ月以内に、申請書(※)を労働局に提出すると、助成金支給の可否判定がなされます。

なお、申請書の書類はハローワーク経由でも行える場合があり、対象者をトライアルから常用雇用に切り替える際には新たに常用雇用契約を結ぶ事が求められます。

トライアル雇用助成金申請時の必要書類

トライアル雇用助成金申請時(一般トライアルコース)の必要書類以下の通りです。

また、若年・女性建設労働者トライアルコースへの申請の際には別途必要書類が必要になるので、合わせて記載しておきたいと思います。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)申請時の必要書類

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を申請時の必要書類は以下の3点です。

  1. トライアル雇用実施計画書
  2. トライアル雇用結果報告書の作成
  3. トライアル雇用奨励金の申請書

この内、トライアル雇用実施計画書に関しては、期間中にどの様な指導及び訓練を行うのか、常用雇用の切り替えの条件を明記することが求められ、対象者との合意を得た上でハローワークに提出する事が必要です。

また、トライアル雇用実施計画書の申請様式に関しては、厚生労働省が予め用意しているので、トライアル雇用助成金を検討している場合は、一度目を通しておくことをオススメします。

◯(トライアル雇用奨励金の申請様式ダウンロード

若年・女性建設労働者トライアルコース申請時の必要書類

若年・女性建設労働者トライアルコース申請時の必要書類は、以下の6点となっています。

  1. 若年・女性建設労働者トライアルコース支給申請
  2. 労働保険料概算、増加概算、確定保険料申告書(写し)、もしくは労働保険料等納入通知書(写し)
  3. 建設業事業主と確認できる書類(建設許可番号が記載された書類等)
  4. 一般トライアル雇用申請書、もしくは障害者トライアルコース申請書(写し)
  5. トライアル雇用者が建設労働者と確認できる書類(求人票、雇用契約書、労働条件通知書など)
  6. 管轄労働局長が必要と求める書類

受給できる助成金額

トライアル雇用助成金で受給できる助成金額は、厚生労働省が公開している計算式によって算出します。

そして、この計算式によって算出した稼働率(図のA)によって、以下の表により月額の助成金額が決定されます。

稼働率 月額 月額(※)
A≧75% 4万円 5万円
75%>A≧50% 3万円 3.75万円
50%>A≧25% 2万円 2.5万円
25%>A>0% 1万円 1.25万円
A=0% 支給なし

※母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合

なお、若年・女性建設労働者トライアルコースの場合は、それらに合わせて最大月額4万円が加算される様になっています

まとめ

トライアル雇用助成金について解説してきましたが、まとめると以下の様な要点になります。

  • トライアル雇用助成金は雇用ミスマッチとコスト削減につながる
  • 現場負担や申請の煩雑さがあり、職務内容によっては効果が薄い場合もある
  • 申請前に受給するための要件を確認すること
  • 建設事業主は若年・女性建設労働者トライアルコースの検討を
  • 申請時には確認書類とスケジュール管理を行うこと
  • 社会保険労務士に申請を代行してもらうとスムーズ

いずれにしても、事業主側でのメリットのある助成金ですが、概ね12万円の支給額になるので、あくまでも雇用コストを補助するものだと考える方が良いでしょう。

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